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東京五輪まで3か月 ラグビー7人制男子代表、メダル獲得へ乗り越えるべき2つの課題

東京を舞台とするオリンピックに挑む7人制男子日本代表が、メダル獲りへの新たな局面に入った。男子の場合、昨年2月のシドニー大会以降、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で1年以上中断されていた国際大会が、今月2日開幕のローカル大会「エミレーツ・インビテーショナルセブンズ」(UAE・ドバイ)で再開されて、日本代表も入念な感染対策の下で参加を果たした。本番のキックオフまで3か月と迫る中で再び始まった国際舞台での実戦は、日本代表の強化には欠かせない追い風となる一方で、メダル獲得のために乗り越えなくてはならない課題も浮かび上がらせた。(文=吉田宏)

7人制男子日本代表の石田吉平【写真:Getty Images】
7人制男子日本代表の石田吉平【写真:Getty Images】

ドバイでの国際大会に参加、見えてきた課題を吉田宏記者が分析

 東京を舞台とするオリンピックに挑む7人制男子日本代表が、メダル獲りへの新たな局面に入った。男子の場合、昨年2月のシドニー大会以降、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で1年以上中断されていた国際大会が、今月2日開幕のローカル大会「エミレーツ・インビテーショナルセブンズ」(UAE・ドバイ)で再開されて、日本代表も入念な感染対策の下で参加を果たした。本番のキックオフまで3か月と迫る中で再び始まった国際舞台での実戦は、日本代表の強化には欠かせない追い風となる一方で、メダル獲得のために乗り越えなくてはならない課題も浮かび上がらせた。(文=吉田宏)

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 世界各地を転戦する国際サーキット「ワールドラグビー・セブンズシリーズ(WRSS)」が中断されてから14か月。7人制ラグビーが、1年吹き続けた逆風から追い風に転じようとしている。ラグビーの統括団体ワールドラグビー(WR)は、今年3月にWRSSの再開を発表。現時点では、男子大会は東京五輪後の10月開幕となっているが、ローカル大会という位置づけで、2月にはスペインで国際大会が行われ、4月のドバイには男女日本代表も招待された。

 このドバイでの招待大会は、4月2、3日、8、9日と2週連続で行われる異例のフォーマットで開催された。東京五輪へ向けてより多くの試合を実施したいという思惑と、同じ会場で開催することでコロナ感染のリスクを減らすために2週に渡る開催となったが、日本代表にとっては、制約の多い海外渡航1回で2大会ぶんの試合を経験できたことは願ってもない収穫となった。

 15人制以上にチーム強化のためには実戦が欠かせない7人制ラグビーでは、国際大会の再開はオリンピックを目指す全てのチームが待ち望んでいたものだが、とりわけ日本には追い風になる。それは、日本代表が世界の中で置かれた位置づけに理由がある。15人制ラグビーのような世界ランキングがない7人制だが、WRSSによる年間通算ポイントによる順位付けが、実力を測る物差しになる。

 日本代表は、昨年のWRSS昇格大会で暫定的に1位扱いとなり、シリーズ参戦権が与えられる「コアチーム」昇格を果たしている。このコアチームに入れるのは世界のトップ15か国。つまり昇格したばかりの日本は、世界で15位前後の実力と考えていい。日本が五輪でメダル圏内に食い込むためには、より多くの国際大会で強豪との対戦を積み重ねてチーム力を上げていくことが欠かせないのだ。

 ようやく実現したドバイでの国際大会には、フィジー、ニュージーランド、南アフリカというメダル候補は不参加だったが、日本とともに強豪を追うアルゼンチン、カナダという中堅チームとの対戦だけでも参加する価値があった。大会参戦のためには様々な制約の中で準備を進めることとなったが、これも今後開催されていくであろう国際大会、そして五輪本番を見据えれば、貴重なシミュレーションになるはずだ。チームを率いる岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)に、UAE入国から大会期間中のチームの活動がどのような制約の下で行われてきたかを聞いてみた。

「チームは入国してから、そのままいわゆるバブルの状況で、ホテルの中でも隔離された環境の中でやっています。最初の3日間は、選手、スタッフすべて自分の部屋から出られずに、練習の時だけ許されました。お弁当等も部屋に運ばれるような状況でした」

 経過観察期間を経て入国3日後にPCR検査が行われ、日本代表選手・スタッフも全員が陰性と判断されて初めて全員で食事ができることになったというが、それも外部とは隔離された食堂に限定されていたという。

 大会会場でも、厳格な感染対策が行われていた。「(試合会場の)ロッカーも勿論すべて別ですし、食事についても1つのチームだけが行えるような場所の中で取っていて、そういう意味では大会側が十分な準備をしてくれて、われわれ選手たちも安心してプレーできていた」と振り返った。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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