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高校サッカー部の飲酒問題を米国から考える 米国の部活は酒を飲んだ場合どうなるのか

臨機応変に指導をするリアクティブなやり方は日本の良さ

 作成には多くの人が関わる。学校運動部の統括責任者であるアスレチック・ディレクター、各運動部コーチ、アスレチック・トレーナーを中心に作られ、その後、学校長、地域、生徒、教育委員会、法律顧問などの評価を受け、最後に教育委員会の承認を得るのが一般的な手順。1年に1度は見直しをする。

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 運動部ハンドブックは、未熟な高校生が道を踏み外すリスクも見込んで作られている。法律違反である飲酒、喫煙のほか、いじめ、暴力をふるったときに、学校運動部としてどのような罰を課すのかも、事が起こる前にあらかじめ決めて書き記している。

 どのような罰を課すのかは、各学校によって違う。例えば、飲酒、喫煙などは、初めて過ちを犯したときには、2試合の出場停止、3試合の出場停止など。2度目の過ちは残りシーズンの活動停止とカウンセリング受講、3度目は1年間の活動停止などである。筆者が調べた限りでは、連帯責任はないようだったが、いじめについては、その場に居合わせて消極的でも関与していた者にも罰を課すとしている例も目にした。

 ハンドブックは、運動部として、成功への道筋を示すもの、信頼を構築できる助けとなるのが理想的だといわれている。事前に決めておく罰則も、子どもがミスを犯したときに、その過ちから何を学んでいくかを考慮したものでなければいけない、と言われている。

 事前にいろいろなことを想定してハンドブックを作成し、教育委員会、地域、学校長などから承認を受けるには、当然のことながら手間がかかる。日本には、米国のアスレチック・ディレクターのような校内の運動部活動全体をモニターする役職はないから、先回りして規則と罰を明文化する仕事を誰が担うのかという問題もある。それに、米国ほど訴訟社会ではないから、ハンドブックによって学校側の身を守るという切迫した感じも少ないはずだ。

 生徒が間違ったことをしたあとで、学校や大人が、ひとりひとりの顔を見ながら、機微にふれ、臨機応変に指導をするリアクティブなやり方は日本の良さだと思う。事前に決めておいた規則に沿って一刀両断に罰を課す方法が常に正しいとは限らない。

 それでも、事が起きてから冷静に判断を下すというのは、簡単なことではない。試合に出場させてやりたいという温情も絡むし、ひとりひとりの反省の度合いをフェアに評価するのも難しい面もあるだろう。山辺高校のケースは、誰が責任をもって対応するかがあいまいだったために、リアクティブに対応することも大幅に遅れてしまい、問題の傷口を広げてしまった感がする。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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