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五輪切符つかんだ競泳界の新星・女子高生スイマー 躍進の裏に“長友流トレ”

池江はいかにして課題を進化を遂げたのか

「まずはレクチャーから入りました。サッカーなどの競技と違い、水泳は重い筋肉をつけると水中での浮力が減少します。体づくりのアプローチはその競技によって違います。腰痛持ちだった池江さんの場合、体幹トレーニングの狙いは骨盤の安定化でした。

 体軸をブレをなくすことで、泳ぎにロスや余分な疲労がなくなる。ストロークの時も大きくかけるように、肩甲骨あたりの可動域を広げ、背筋への連動性を高めました。そのため、疲れない体になっています。そして、ブレもなくなったと専門家の方も指摘していました。それは狙い通りです」

 レースの終盤で疲労がたまると泳ぎのフォームが乱れ、身体にブレが生じる。すると水の抵抗も増して、さらに疲労が増していく。結果、タイムが落ちるという悪循環に陥ってしまう。

 木場氏のもとで池江はそのブレの改善に着手。腹斜筋、中臀筋を強化するサイドブリッジなど、以前こなせなかったトレーニングメニューもこの1年間の鍛錬でこなせるようになったという。

 前出の長友も明大時代に腰椎すべり症という持病を抱え、歩けないほどの激痛を抱えていたが、木場氏の体幹トレーニングによってインナーマッスルを強化して克服した過去がある。この体幹の安定によってバランスを高めたことで、走る際の横ブレもなくなった。横ブレの解消で余計なスタミナの消耗も減少。イタリアのピッチで見せる無尽蔵な運動量も、まさに体幹トレの賜物だった。池江も同様に、腰痛の克服とともに体幹の強化による恩恵を受けることになった。

 競泳選手に合わせた体幹トレーニングメニューを完成させた木場氏は池江に競泳界におけるロールモデルとなることを期待している。

「トップアスリートは自分の体を理解するものです。それと同時に弱点を理解する。自分の体調がいい時には、こういうトレーニングをやるとどう変化するのか、気付かせてあげたい。中学卒業直後に日本記録を出すほどのトップアスリートである彼女がどんなトレーニングを続けて成長するのか。池江さんを目指す水泳選手の手本になってほしい。練習メニューが伝わると競泳のレベルの底上げにつながるのではないでしょうか」

 1年間の取り組みで進化を遂げた池江。そんな新星がリオで躍進すれば、そのトレーニング法も注目され、日本競泳界全体に好影響をもたらすことになるかもしれない。

【了】

ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer



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木場 克己

KOBA式体幹バランストレーニング協会代表

プロトレーナー

 小2年で柔道を始め、小6の南九州柔道大会で優勝、優秀選手賞を獲得。中3で県内の大会のタイトルを優勝で飾る。全九州大会団体の部で優勝・県大会軽量級個人戦2位。高校でレスリングを始め、56キロ級九州大会で優勝。インターハイ、国体は団体戦3位。腰椎圧迫骨折で現役を退き、医療人の道へ。鍼灸師、柔道整復師、FC東京ヘッドトレーナー(95~02年)、G大阪ユーストレーニングアドバイザー(2016年~)、長友佑都専属トレーナー。

URL:http://kobakatsumi.jp/

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