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日本には「失敗しづらい環境がある」 仏名門ラグビーコーチの“気づき”と子どもたちに眠る伸びしろ

ヤマハ発動機時代の2019年には、フランスに渡り交流試合を行ったこともある【写真提供:静岡ブルーレヴズ】
ヤマハ発動機時代の2019年には、フランスに渡り交流試合を行ったこともある【写真提供:静岡ブルーレヴズ】

子どもたちへの指導で浮き彫りになった違いは“伸びしろ”

「チームを地域の経済のハブにしたいんです。欧州ではスタジアムでビジネスの話が進む。スポンサー同士が集まることでマッチングができる。地域社会にとっても社交の場になっていますし、理想形の一つだと思っています」

 地域の核となっているクラブから、元フランス代表を含む3人のコーチを招いてのキャンプは、8月20日から2泊3日の日程で行われた。午前、午後にそれぞれ1時間半ほど、計5度のトレーニングで36人の小中学生がボールを追った。

 フランスは、9月30日現在の男子世界ランキングで4位の強豪国(日本は14位)だ。ただコーチ陣には日本ラグビーをリスペクトし、子どもたちと接していこうという意志を感じた。「日本のことを理解しながらやりたいとディスカッションをしていました。フランス流を押し付けるのではなく、日本の良さ、何がベストなのかを追求してくださった印象が強いです」。その中で、フランスのコーチが気づいたことがある。日本には「失敗しづらい環境がある」というのだ。

「彼らはどんどんチャレンジさせるんですよね。子どものうちからチャレンジしているから、大人になってもできるということだと思うんです。トップチームはもちろんレベルが全然高いんですが、そもそもの考え方がそうなんだと。一貫していますよね」

 ブルーレヴズは幼稚園の年中、4~5歳からのスクール組織を持っている。今後は個人にトゥールーズ留学へのプログラムを用意し、現地のラグビーを経験してほしいという目標もある。「スキル向上も目的ですが、異文化にチャレンジすること自体に意味があると思うんです」。今回のキャンプで、日本の子どもたちと触れ合ったフランス側からは「もっとシャイかと思っていた」という声が上がったという。子どもたちは異文化にも臆することなく、次々に課題を解決していった。想像以上に伸びしろは大きく、適応力は高かった。

 トゥールーズでは過去、ヤマハ発動機時代に派遣されたHO日野剛志が2019-20シーズンに4試合出場。今季は東京サントリーから移籍した日本代表SHの齋藤直人が所属する。このキャンプから巣立った子どもたちから、トゥールーズのスコッドに名を連ねる選手が出てきたとき、日本にもまたチャレンジを是とする文化が生まれているのかもしれない。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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