勝負は「最初の3時間」 高校生指導の睡眠コーチが推奨、快眠を導く3つのポイント
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第4回は、アスリートが睡眠によって効果的な回復をするためのポイントについて解説。深い眠りを導くために、最初の「3時間」が勝負になるという。(取材・文=加部 究)
連載「スポーツと睡眠」第4回、人間は遺伝子レベルで「朝型」と「夜型」に分類
「睡眠」は人間が生きていく上で、切っても切れない関係にある。しっかりと体を休めて熟睡し、気持ちの良い目覚めを迎えて心身ともにリフレッシュするためにはどうすればいいのか。そんな“理想の睡眠”を追求しているのが、アスリートスリープコーチとして活動する矢野達人氏だ。「スポーツと睡眠」をテーマにした連載の第4回は、アスリートが睡眠によって効果的な回復をするためのポイントについて解説。深い眠りを導くために、最初の「3時間」が勝負になるという。(取材・文=加部 究)
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兵庫県の相生学院高校サッカー部でスリープコーチに就任した矢野達人は、サーカディアンリズム(体内時計)を整えていくために「毎日決まった時間に起床し、太陽の光を浴びる」ことを推奨した。
「人間は起床して強い光を浴びてから、16時間前後で眠りのホルモンと言われるメラトニンの分泌量がピークを迎えます。一般的には就寝時間は定め難いわけですが、起床時間を定めることができます。それである程度は眠くなる時間をコントロールできるようになるわけです」
学校や職場などの環境が変わると最初は辛く感じるが、次第に体が新しい生活リズムに順応していく。同じようにプロのアスリートがナイトゲームを続けるなら、試合開始に合わせた調整が必要になる。反面アマチュアの場合は仕事や授業が本分なので、試合にピークを合わせると逆効果になる可能性もある。「どちらが幸せなのかは、よく考える必要がありますね」と矢野は笑う。
個々の人間は遺伝子レベルで朝型と夜型に分類され、それはクロノタイプと呼ばれる。
「夜更かしもせず通常のリズムで就寝し、翌日何も予定のない状態で何時頃に目が覚めるのか。これが大きな指標になります。9~10時頃まで寝ているようなら、クロノタイプでは夜型になります。日本人の8割ほどは、朝と夜の中間型だと思っているようですが、おそらく大半は夜型の人たちが社会に同調するために朝型のリズムに合わせている状態だと思います」
矢野と業務提携を結ぶ世界最高のスリープコーチで英国人のニック・リトルヘイルズは、「どちらのクロノタイプでも22時から2時の間は寝たほうが良い」と指摘している。
「22時には太陽が完全に水平線より沈み込み漆黒の闇に包まれる。2時を過ぎると、今度は上ってくる太陽の光の影響が出てきます。この環境については、日英ともに大きな違いはありません」(矢野)