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箱根駅伝優勝へ、中大の“10年計画” チャンスは残り3回、藤原正和監督「風穴開けたい」

今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝のスタートが明日に迫った。昨年10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は箱根駅伝で歴代最多の総合優勝14回を誇る名門・中央大学で、就任7年目を迎えた藤原正和監督だ。前回大会で総合6位に入り、10年ぶりのシード権を獲得したが、指揮官は近年低迷していたチームをどのように立て直してきたのか。最終回では大学駅伝の指導者として大切にしていること、そして中央大が2025年までの箱根駅伝優勝を掲げるなか、残り3回のチャンスに向けた意気込みを語った。(取材・文=佐藤 俊)

11月の全日本大学駅伝6区でも区間新の快走を見せた、中央大のエース吉居大和【写真:SportsPressJP/アフロ】
11月の全日本大学駅伝6区でも区間新の快走を見せた、中央大のエース吉居大和【写真:SportsPressJP/アフロ】

箱根駅伝「ダークホース校の指導論」、中央大学・藤原正和監督インタビュー第5回

 今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝のスタートが明日に迫った。昨年10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は箱根駅伝で歴代最多の総合優勝14回を誇る名門・中央大学で、就任7年目を迎えた藤原正和監督だ。前回大会で総合6位に入り、10年ぶりのシード権を獲得したが、指揮官は近年低迷していたチームをどのように立て直してきたのか。最終回では大学駅伝の指導者として大切にしていること、そして中央大が2025年までの箱根駅伝優勝を掲げるなか、残り3回のチャンスに向けた意気込みを語った。(取材・文=佐藤 俊)

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 今、大学駅伝界には30代、40代の監督が増えてきている。その一方で駒澤大の大八木弘明監督など60代になっても元気に指導している監督、メディアを利用し、箱根駅伝で強さを見せつける青山学院大の原晋監督がいる。それぞれの監督のカラーがチームに反映されており、それが明確なほど個性が強まるが、その濃さが若い監督との違いでもある。

――指導者の年齢分布が広がりつつあり、大学のカラーがだいぶ変わってきました。ただ、年輩の監督は非常に個性が強いですね。

「そうですね。私が高2の時、渡辺(公二)先生は60歳を迎えられたのですが、西脇工業が一番強い時代でした。その時、先生がよくおっしゃっていたのは『50代、60代が指導者として、人間として良い時期だ。それまでに自分が生徒に苦労させたことで今、自分は活かしてもらっているから今のお前たちは幸せだ』という言い方をされていたんです。大八木さんや原さんは今、そういう領域にいらっしゃると思います。その域に達するのは、簡単なことではないので、私はまだまだ学ばないといけない。選手と一緒に成長していくという姿勢は、絶対に崩してはいけないと思っています」

――選手とともに自身も成長していくスタイルを目指していると?

「大八木監督や原監督は、絶対的な答えを持っていると思うんです。でも私は、まだ学生と一緒に学んでいる最中ですね。もちろん、トップになりたいという意識は持っていますし、年上の指導者にも勝ちたいという気持ちはあります」

――指導者の評価は、どういうところにあると思いますか。

「まずは、その時の全日本大学駅伝や箱根駅伝の結果です。でも、それ以上に大事なことは、指導した選手がその後、どう成長したのか。実業団で頑張ってくれる選手が1人でも増えると嬉しいですし、その中から日の丸をつけてくれる選手が出てきてくれたら、自分がやってきたことが間違っていなかったという答え合わせになります」

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藤原 正和

中央大 陸上競技部 駅伝監督 
1981年生まれ、兵庫県出身。現役時代は中央大の中心選手として箱根駅伝などで活躍。2001年ユニバーシアード北京大会の男子ハーフマラソンで金メダルを獲得した。03年のびわ湖毎日マラソンでは日本人トップの3位入賞、2時間08分12秒のタイムは初マラソン日本最高記録とマラソン日本学生最高記録となっている。卒業後はホンダに入社。世界陸上の男子マラソンに2度出場するなどの実績を残し、16年に現役を引退すると中央大の駅伝監督に就任した。同年の箱根駅伝出場を逃すなど苦しい時も過ごしたが、着実にチームを強化。今年度は3大駅伝にフル参戦し、出雲駅伝3位、全日本大学駅伝7位の成績を引っ提げて箱根路に挑む。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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