名将ベンゲルに仕えた男が高校サッカー部指導 不思議に感じた日本人選手の特徴とは
日本の高校生が「状況に応じた判断ができない」点を指摘
ペイトン監督は「サッカーはサッカーだから」と、オーソドックスなアプローチを続けてきた。だが何かテーマを設けて強調すると、選手たちの意識がそこばかりに傾いてしまうのが不思議だった。
「ショートパスを繋ぐテーマを設けたとしても、背後が狙えるならロングボールも使うし、どうしてもクリアしなければいけない局面も訪れる。状況に応じた判断ができないのは、選手たちに試合を観る文化が浸透していないからかもしれません」
そう語る上船は、自身のドイツでの体験と日本の実情を照らし合わせて考察する。
「ドイツでは、子供たちの活動とブンデスリーガの試合が被ることはなかった。でも日本の子供たちは、土日はほとんど一日中試合をしています。だからよく動画は見ていますが、試合は見ない。これだと個人のテクニックは磨かれるでしょうが、試合中に自分と同じポジションの選手がどんな判断を下しているのかは学べません」
相生学院では、よく全員が揃ってプレミアリーグの試合等を観戦している。解説を務めるのは、長年選手として、指導者としてそこで戦ってきたジェリー・ペイトンである。(文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)