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名将ベンゲルに仕えた男が高校サッカー部指導 不思議に感じた日本人選手の特徴とは

発足からわずか3年で、全国高校サッカー選手権の舞台にあと一歩と迫ったチームがある。淡路島を拠点に活動する兵庫県の相生学院高校サッカー部は、県大会決勝で滝川第二高校に0-1で敗れたものの、強豪相手に互角の攻防を演じた。彼らはいかにして、その場所へと駆け上がったのか。4回目となる今回は、世界トップレベルを知るジェリー・ペイトン監督に注目。指導者として説得力の次元が違ったという。(取材・文=加部 究)

相生学院高校サッカー部のジェリー・ペイトン監督【写真提供:相生学院】
相生学院高校サッカー部のジェリー・ペイトン監督【写真提供:相生学院】

連載「高校サッカー革命児たちの3年」第4回、偶然の出会いからペイトン監督が誕生

 発足からわずか3年で、全国高校サッカー選手権の舞台にあと一歩と迫ったチームがある。淡路島を拠点に活動する兵庫県の相生学院高校サッカー部は、県大会決勝で滝川第二高校に0-1で敗れたものの、強豪相手に互角の攻防を演じた。彼らはいかにして、その場所へと駆け上がったのか。4回目となる今回は、世界トップレベルを知るジェリー・ペイトン監督に注目。指導者として説得力の次元が違ったという。(取材・文=加部 究)

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 相生学院サッカー部は、今年2月にゼムノビッチ・ズドラブコを監督に迎えた。かつてJリーグの清水エスパルスを率いて天皇杯優勝を果たした監督が、高体連のチームを率いるのは初めてのことだった。だがその2か月後、同監督はJ3のカマタマーレ讃岐からオファーを受け転籍。代わりに監督に就任したのが、元アイルランド代表GKとしてワールドカップと欧州選手権への出場経験を持つジェリー・ペイトンだった。

 現役を退いた後はアーセン・ベンゲルが指揮を執った黄金期のアーセナルでのGKコーチをはじめ、華々しいキャリアを誇り、ヴォイチェフ・シュチェスニー(ユベントス/ポーランド代表)、エドウィン・ファン・デル・サール(元オランダ代表)、エミリアーノ・マルティネス(アストン・ビラ/アルゼンチン代表)など紛れもなく世界トップレベルの守護神たちを指導してきた。

 ペイトンは偶然、淡路島への旅行中に相生学院のゼムノビッチと上船利徳総監督に遭遇。恵まれた環境を目の当たりにして意気投合し、当初はGKアドバイザーとして関わっていく予定だった。だがゼムノビッチが讃岐へ移り監督の席が空いたため、上船総監督が後任監督として要請し快諾を得た。

 典型的な英国紳士のペイトンは、連日上船と長時間話し込み様々なビジョンを共有してきた。当初上船は母国語以外ではドイツ語しか理解できなかったのに、気がつけばペイトンの話す英語をすべて聞き取れるようになっていた。65歳の新監督は、あくまで上船とゼムノビッチが築き上げたプレーモデルや習慣を尊重し、慎重に意見を交わしながらチーム作りを進めていった。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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