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なぜ、日本の子供は「夏休み」に休まないのか 猛練習はドイツで美談にならない

パソコンを前に腕組みをして「うーん」と首をかしげていると、9歳の長男が「どうしたの?」と聞いてきた。「日本の子は夏にいっぱい練習するんだよね」という話をしたら、びっくりして声を出した。

【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――日独で異なる夏休みの風景

 ツイッターやFacebookなどSNSを見ていると、こんなポストが次から次へと流れてくる。

「夏は追い込み期だ!」

「夏合宿で3部練習、頑張りました!」

「暑いなか、朝から晩まで練習試合を頑張りました!」

 やり抜いたことを指導者や保護者が絶賛し、子供たちも誇らしげだ。日本では毎年恒例の画なのだろう。でも、僕にはどこか違和感がある。

 パソコンを前に腕組みをして「うーん」と首をかしげていると、9歳の長男が「どうしたの?」と聞いてきた。「日本の子は夏にいっぱい練習するんだよね」という話をしたら、びっくりして声を出した。

「え? それって、もう“休み”じゃないじゃない! なんでそんなことするの? 体をちゃんと休ませないと疲れ取れないし、それだと怪我とかもしちゃう」

 彼の驚きはもっともだ。なぜなら、ドイツでは夏休みにサッカーの練習も試合もしないからだ。そして、日本でお馴染みの宿題もない。

 理由はシンプルだ。夏休みは「休み」だからだ。僕が指導するU-15チームも、7月下旬から8月23日まで完全オフ。僕としても休みがあると、指導者としてインプットする時間も取りやすい。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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