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45歳、上場企業から脱サラ 挑んだ「ラグビー界の超ニッチ」…30人が集まる“スクラム虎の穴”の正体

背中に置いたボールを落とさずスクラムの姿勢で前身するメニュー【写真:吉田宏】
背中に置いたボールを落とさずスクラムの姿勢で前身するメニュー【写真:吉田宏】

PRアカデミーの3つのキーワードは「背中が平行」「膝下5cm」「95度」

 PRアカデミー開校から参加している南部龍之介くん(川口西中3年)は、こんな思いで“修行”を続けている。

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「父と兄の影響で2歳からラグビーを始めました。中学途中でSOからHOに転向したのでPRアカデミーに来ています。火、木曜はアライブで練習して、週末は川口ラグビースクールでプレーしています。スクラムの練習はきつくて大変だけど、コーチの皆さんが細かいところまで教えてくれるので、高校生になったら自分のためになると思っています。ここだと高校生と一緒に練習もするので、皆重たいけれど、いろいろ教えてくれるのもいいですね」

 アカデミーでは中高生が一緒に練習するため、体重差などに配慮しながらだが、年代の違う相手からの経験や学びも大きなメリットだ。練習を取材した時も、スクラムを組み合うメニューの時に、組んでいない選手たちがお互いに組み方や足の位置などを教え合う姿もあった。南部くんが転向して憧れる選手になったのはスピアーズの江良颯。ペコさんの後輩でもある機動力とハードタックルが武器の日本代表HOをお手本に、SO仕込みのパスワークとステップも武器にする「2番」を目指す。

「アライブ・アカデミー」が中高生を対象としているのに対して、PRアカデミーには発足の段階から敢えて年齢制限を設けなかった。ラグビースクールなどで指導をしているコーチらも受講したいという声があったからだ。そんな“虎の穴”での指導では、恩師スタイルズからの教えも生かしている。

「スクラムを組む時は背中が地面と平行になるとか、膝から地面までの距離は5cm、そして(膝、腰の)角度は95から105度ということを教わりました。それまでは『低く組め』とか何となく感覚で組んでいたのを、ニックが数値化して教えてくれたのが僕にはすごくしっくりきた。それをやれば上手くなる、強くなると。この『背中が平行』『膝下5cm』『95度』がPRアカデミーでも3つのキーワードになっています」

 年齢不問ではあるが、とりわけ中高生という世代の指導に力を注ぐのは、慶応志木や昌平という高校チームでスクラムを指導した経験が反映されている。

「中学生はスクラムは基本組むだけで押し合わない。高校にも1.5mしか押せない国内ルールがある。なので、例えば中学生が高校に入った時点でスクラムを組めるようだと、それでリザーブくらいには入れちゃうんです。そこから頑張って花園にでも出場したら、大学進学にも影響するんです。スキルだけじゃなくて、安全面でも中学生でどう組めば安全かを分かっていれば、怪我せずに長くプレー出来るなと思ったんです」

 こんなスクラムに特化した教室を作りたいという思いは、アライブ・アカデミー開校当時からあったという。

「構想はあったけれど、最初はお金の面でも厳しいかなと考えていました。でも何人かの中学生から、高校からPRをやりたいという話は聞いていた。僕の高校時代を振り返っても、スクラムの指導って少なくて、組んだ経験もあまりない。もし今の子供たちが、それで嫌になっちゃったらという思いもありました。それに、アカデミーでは僕はパスやキックは教えないけれど、ブレークダウンなんかを教えていても、なにか違和感があるんですよね。いろいろな人からも『ペコさん、パス出来るの』と言われちゃったりね。なので、いろいろなスキルコーチも呼んで、僕は得意なところをやったほうが満足感もあると考えて、ニッチなPRのアカデミーを始めたんです」

 最初は手探りのPRアカデミーだったが、授業を月曜日開催にしたこともプラス材料になった。月曜日は練習がない高校、大学チームも多いため、部活を気にせず参加出来る選手が多いのだ。PRに限らずだが、ペコさんが試合をするためのチーム(クラブ)を作らず、練習だけに特化したアカデミーを作ったのも、既存のチーム(部活)から選手を奪うようなことをせずに、子供たち個々の能力を伸ばす育成だけにフォーカスしているためだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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