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思考が伴うボトムアップ型部活 「主体的、創造的、積極的」な選手が変える数年後の姿

探求心を持って取り組む「子供たちの可能性は凄い」

 特に安芸南では、サッカー部に端を発し、ラグビー部、野球部、バレー部とボトムアップの輪が広がり、文科系も含めた全部活へと浸透。年間2000人近く訪れる外部からの見学者には、生徒たちが説明をする仕組みができ上がっていた。

「やっぱり畑先生がいるから、しっかりできるのでは?」という声には、「では、どうぞ僕がいない時に来てみてください」と答えていたそうだ。

 実際安芸南では、生徒の提案で校内に「いいねボックス」が設置されたという。

「職員も生徒も、みんなが学校の良いところを書いて投函する。職員会議に生徒たちが入ってきて提案し、教員も全員が拍手で承認しました。1か月に1度、箱に集まった学校の良いところを貼り出すのですが、こうなると校内も明るくなり大きな事故が起こることもなくなった。僕が赴任した当初は、入試の倍率も1.0台だったのに、5年後には広島県でもベスト3に迫るほどになりました」

 部活では全員リーダー制を取り入れ、誰もが主役になり活動してきた。その結果、安芸南サッカー部は5年間で広島県リーグ4部から1部に昇格し、全110チーム中70位程度のランクから県内ベスト8の成績を3度も刻むまでに急成長を遂げた。

「まず人間という土台を築くことでサッカーへの姿勢が変わり、週2回の全体練習でも良いチームを創りあげていった。4年前の全国高校サッカー選手権で瀬戸内高校がベスト4に進出しましたが、広島県予選準々決勝では安芸南と対戦して延長戦のラスト3分まで0-0でした。指導者が“ああせい、こうせい”と言わなくても、選手たちは探求心を持っていろいろ調べながら取り組み、ここまできた。やはり子供たちの可能性は凄い。ボトムアップこそが未来に繋がる指導法だと確信しました」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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