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ドイツの子供は「話を聞かない」 自己主張の先で育むチーム内のコミュニケーション

時間をかけて取り組む分、大事なところを理解してくれる

 そうした背景もあり、ドイツの小学校低学年くらいだと集団生活に慣れていない子も多い。だから、最初はどうしても時間がかかる。コミュニケーションをとりながら、少しずつ納得して、理解できるように導いていくことが求められる。

 この年代の子は、とにかく体を動かしたくてうずうずしているのが特徴だ。だから次のトレーニングからは、最初の導入として説明なしですぐに動ける鬼ごっこ形式や、ボールの出し合いみたいなゲームをすることにした。一通り体を動かした後の方が、話を聞く態勢も取りやすいみたいでちゃんと話を聞いてくれた。

 もちろん、いつもすべてを子供たちに合わせるわけではなく、話を聞くことの大切さ、仲間とプレーすることの意味をちょっとずつ伝えていくし、友だちの邪魔をするような子にはしっかりと注意をする。サッカーはチームスポーツだ。

 時間をかけて取り組む分、子供たちは「なんのために」という大事なところをちゃんと理解してくれることが多い。そうしたやり取りを通じて子供たちはもちろん、指導者も様々なことを学んでいく。試行錯誤を繰り返しながら、このあたりの感覚をつかんでいくことが大切なのだろう。

 子供たちとのコミュニケーションを楽しみながら、僕もまた成長していきたい。

(中野 吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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