中高生の睡眠時間は「8~9時間の推奨を」 良質な眠りを実現させる4つの要素とは
スポーツ選手にとって、休むことも練習のひとつ。オーバーワークは、身体的な疲労や怪我を引き起こし、精神的にも悪影響を与え、モチベーションの低下などを引き起こす。中でも、「睡眠」が選手の身体、精神に与える影響は大きい。スポーツの現場ではもっと「睡眠」のあり方が見直されるべきだと語るのは、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授の西多昌規氏。西多氏の研究テーマは睡眠と運動、脳の関係性だ。後編では、中学、高校の部活指導者が、睡眠についてスポーツ選手に指導すべき内容について聞いた。(聞き手=ドットライフ・種石 光)
「スポーツ指導者が知っておくべき、睡眠とパフォーマンスの関係性」後編
スポーツ選手にとって、休むことも練習のひとつ。オーバーワークは、身体的な疲労や怪我を引き起こし、精神的にも悪影響を与え、モチベーションの低下などを引き起こす。中でも、「睡眠」が選手の身体、精神に与える影響は大きい。スポーツの現場ではもっと「睡眠」のあり方が見直されるべきだと語るのは、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授の西多昌規氏。西多氏の研究テーマは睡眠と運動、脳の関係性だ。後編では、中学、高校の部活指導者が、睡眠についてスポーツ選手に指導すべき内容について聞いた。(聞き手=ドットライフ・種石 光)
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――中高生スポーツ選手の睡眠について、課題などあれば教えてください。
「遅い時間まで浴びる強い光の影響で、睡眠の質が低下しているのではと懸念しています。学生にとって勉強は本分ですから、部活後に塾に行く人もいるでしょう。明るい蛍光灯の下で勉強するのは、頭を冴えさせるのには有効ですが、その後の睡眠の質を下げてしまいます。
また、同じように強い光を浴びるパターンとしてゲームやスマホ操作があります。最近はeスポーツが話題になっており、ゲームをすること自体がダメだという見方は見直されていますが、少なくとも睡眠の観点からは寝る前の長時間のゲームは良くありません。ゲームやスマホに熱中し過ぎて、寝る時間が遅くなるのも睡眠不足の原因になります。完全に禁止にするとストレスも溜まるので、時間制限を設けるなどの対応をするべきだと思います。
全体的に、スポーツ選手と指導者の両方が睡眠の重要性をあまり理解していないように感じます。栄養の偏りやテクニックなど、ほかのことにはすごく敏感で、いろいろな情報を得ているにもかかわらず、睡眠に関しては知識のない人が多いと感じます。この傾向は学生スポーツだけでなく、社会人スポーツでも同じ傾向がありますね。睡眠研究の本場のアメリカですら、睡眠が大事だとは言うものの、具体的なアクションにまでは落とし込めていないのが現状ではないでしょうか」