2年連続ウィンブルドン棄権、錦織圭は“負の連鎖”から抜け出せるか
有効な再発予防は…「負の連鎖を断ち切ることが大切」
身体的に大きい海外の実力者と対抗するために、錦織は「ひねり」の動作を押し出し、ストロークのパワーを増幅させている。これが脇腹に筋肉系のトラブルのリスクを高める“諸刃の剣”となっている可能性があるという。
「肉離れの状態で無理をしてプレーを続けた場合、状態は悪化し復帰までに時間がかかります。特に筋肉の損傷が腱に近い部分の場合は時間がかかります。今回は痛みを我慢してのプレーだったようですので、損傷の程度が特に心配です」
新盛院長はこう語った。錦織自身も4回戦棄権後の記者会見で「ハレでの初戦で怪我をしてしまったけれど、この2週間で思うように回復できなかった。3回戦後に悪化した。回復できればよかったけれど、コート上での痛みがあまりにも酷すぎた。だから、プレーを続けることができなかった」と壮絶な痛みとの戦いだったことを明らかにしている。
「肉離れの治療で一番大切なことは安静です。腹斜筋の肉離れは治りにくい症例と言われています。普段呼吸をする時にも腹斜筋は使われているので、安静な状態にするのが難しいのが原因の一つだと言われています。8月にはリオデジャネイロオリンピックや全米オープンテニスなど大きな国際大会が控えています。スケジュール的にはタイトですが、まずは安静の時間をいかに取れるかが復帰の鍵になると思います」
今後は25日開幕のロジャーズ・カップ(トロント)への出場を予定しているが、果たして万全の状態となるのだろうか。
「再発の予防は、やはり今回の怪我をしっかり治すことが第一です。脇腹を痛める前は足の内転筋を痛めていたようですので、負の連鎖をまず断ち切ることが大切です。足の痛みで思い切り動かせない状況にあれば、どこかの筋肉への負担が増えることになります。それが今回は脇腹に負荷がかかった原因の一つかもしれません」