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錦織圭は「ゼロ隙圭」になれるか 松岡修造が見る、グランドスラム8強の壁打破の条件

「ゼロ隙・圭」を貫けるか、松岡氏が挙げた「絶対的条件」とは…

「“体力を残した中でベスト8に残ること”が最低条件。テニスは相手がいるものなので、その相手がどんな状況でくるのかを踏まえてプレーしなければいけないが、彼が変えなければいけないことがあるかと言われたら、僕はないと思う。細かい部分でサービスの確率を良くするとかは当たり前のこと。でも、テニスそのもので変える必要は1個もない。ウィンブルドンももしドローが違っていたら決勝まで行っていた可能性だってある。それくらいのテニスをしているのは間違いない。暑い全米だから、絶対的条件は体力を残した中でベスト8圏内に入ってくることでしょう」

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 生き残りへ、条件に挙げた“体力を残した勝ち上がり方”。これまでの錦織の戦いぶりについては、松岡氏はメンタル面に課題があったとみている。

「彼がグランドスラムで競った試合は、ほとんど自分が有利な展開。このままストレートで勝つ、このゲームを取れば終わる、という時に一瞬、気が抜けてしまう。ふわっと相手をわざわざ起き上がらせるケースが多かった。相手がすごくてカムバックして接戦になったわけではなく、自分のふとした集中力の問題でもう一度、混戦にさせてしまっていることがほとんど。それは本人も分かっている。今年のウィンブルドンの勝ち上がり方はそういう隙を見せなかった。“ゼロ隙・圭”みたいな感じですかね。そこが圭が一番、理解してやっていたところだったと思います」

 いかに“ゼロ隙・圭”を貫けるか。言うは易しだが、松岡氏は「そう簡単にはいかない」と言う。理由の一つに、錦織より若い世代の台頭を挙げ、「3、4回戦でその選手と100%で当たってしまったら、分からない」と指摘する一方で「それ以上に問題なのは……」と切り出し、「あのBIG3が進化してしまっている」と言った。

 38歳のフェデラーを筆頭として、33歳のラファエル・ナダル(スペイン)、32歳のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は衰えを知らない。25歳の世界ランク4位ドミニク・ティエム(オーストリア)、22歳の同6位アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、21歳の同8位ステファノス・チチパス(ギリシャ)ら、若手たちの前に未だ立ちはだかる。

「彼らはあの年齢にして上手くなっている。フェデラーのウィンブルドンでの圭との試合は全盛期より間違いなく上手い。ジョコビッチも守備(が武器)だったのがどんどん攻撃しているし、ナダルもどんどんネットについてくるようになって進化している。何が起きているのか、僕も分からないくらい。年齢を重ねながら進化していくテニスを初めて見ている。世界の中でも一番の驚きだと思います」

 悲願のグランドスラム制覇を達成するため、錦織にとっても超えなければならない3人。彼らに勝つために必要なこととは。

「どストレートに言うと、フェデラー、ジョコビッチに関しては100%でプレーしないでほしいということ。彼らはすべての試合で100%かというとそうではない。100%で来られることは年間数回で、そうじゃない確率の方が圧倒的に高い。その100%じゃない時に圭には100%に近いところにいてほしい。ウィンブルドンの第1セットは100%だった。その感覚が試合を通して維持できるかどうか。でも、それは錦織圭ならできます。なぜなら、そういう選手だから。

 すでに錦織選手は自分のテニスを持っている。それをどう出すか。条件は3つあります。第1条件は『体力』、第2条件は『集中力』。この2つがどこまで持つか。第3条件は『自分ができる』と信じるという体力。この3つの要素が重ならない限りは1人に勝っても、2人は無理でしょう。1人に勝つことは可能かもしれないけど、優勝するには若手を含め、強い相手を相当下さないといけない。よくやっていると言ってあげたいが、『優勝するには?』と聞かれると、シビアに答えます」

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