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米国で話題騒然の魚雷バット、削ってみた日本の職人が分析「飛ぶだけの理由はある」 国内登場も時間の問題

「HAKUSOH BAT JAPAN」の代表でバットデザイナーの松本啓悟さん【写真:羽鳥慶太】
「HAKUSOH BAT JAPAN」の代表でバットデザイナーの松本啓悟さん【写真:羽鳥慶太】

国内普及のカギは…日米のバットにある大きな違い

 松本さんは「こういう形状をしているものは、これまでになかったわけではありません」と言うが「ここまで極端にして、試合で使ったのには驚きました」とも続ける。長所にとことんフォーカスした結果、生まれた形なのだ。そして、昨シーズンから投高打低の傾向がある日本のプロ野球でも「一定数は広まるのでは」と見ている。ただし壁となりえるのが、日米のバットに対する考え方の違いだという。

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 日本のプロ野球では「トップバランス」と呼ばれるバットを用いてボールを飛ばそうとする選手がいる。日米で野球殿堂入りを果たしたイチロー氏や、3度の三冠王に輝いた落合博満氏、通算404本塁打の中村紀洋氏らが典型だ。バットの重心を先端に近いところに置き、遠心力を利用するのだ。その分操作は難しくなり、高い技術が求められる。

 魚雷バットはそれよりも重心がだいぶ手元に近寄る。普段使っているバットとバランスが違えば、その部分でも対応が必要となる。

 一方、米国のバットには日本で言うトップバランスのモデルがほとんどない。もっと手元近くに重心を置いた、操作性の高いバットが主流で、今回の魚雷バットにも近い。松本さんはこれも、新兵器がすんなり実戦投入された理由ではないかとみている。

 ただこれだけ話題になると、魚雷バットが近い将来、日本球界にも上陸するのは間違いない。松本さんも「もし安定して作れる形状を設計して、一般用に落とし込むことができれば……」と、いずれ製造に乗り出すことを考えている。すでにプロ野球選手からも問い合わせがあるという。新兵器を使いこなして長打を量産する選手が現れれば、アマチュアにも広まるのは時間の問題。バットの歴史は、大きな転換点にあるのかもしれない。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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