“欽ちゃん球団監督”片岡安祐美の今 2度の流産を経て母に…思春期の後悔「生理に見て見ぬふりを」
周囲に支えられ、ママ監督として新たな一歩「強くて愛される球団でありたい」
妊娠中や出産直後はチームに関わる機会が減った。「自分が戻る場所がなくなってしまうのでは」。世の中の女性と同じように、産後の社会復帰への不安も感じた。現在は平日のナイター練習には参加できないが、土日は長男を連れて、茨城まで車を走らせる。
「息子の機嫌がいい時は選手のお母さんたちが『見ているからいいよ。監督、ユニホーム着てきて!』って言ってくれて、ベンチに入る。機嫌の悪い時は抱っこ紐やおんぶ紐をした状態であーだこーだ話したり、子どもと遊びながらスタンドで“口だけ番長”をしたり」
周囲に支えられ、バリバリのママ監督を演じている。
「野球をしている時間も子どもを預けてきている時は『おやつ食べ終わったかな』と考えるし、逆に子どもと遊びながらプロ野球ニュースが流れてくると『このタイミングの取り方、あの選手に合うんじゃない』と急に頭が選手たちの方に向くこともある。注意力散漫ですよね(笑)」
出産も育児も仕事も、誰かの支えは不可欠。女性の働きやすさが取り沙汰される一方で、育児と仕事の両立に、後ろめたさを拭えない女性もいる。そんな時代で2つを両立する意義について「まだ分からないですね」と片岡さんは率直に明かす。
「『両立すごいですね』と周りの人は言ってくれるけど、できているのかも分からない。置かれている環境でやらないといけないこと、やりたいことと向き合って必死にやっている。ただ、息子が野球のニュース見ると投げ真似をしたり、『ママ! ママ!』と言ったりするのは嬉しい」
24歳で歩み始めた監督人生。萩本さんに突然任され、「できっこないよ」と感じた当時から13年が経ち、新たな一歩を踏み出した。
「(女子チームは)思わず『よし!』ってガッツポーズをしたくなるような、球場を巻き込むことができるチーム、強くて愛される球団でありたい」。かつて女性に生まれたことを悔やみ、さまざまな悲しみを乗り越えた「かあちゃん」の挑戦は、女性の未来を照らすはずだ。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)