日本はまだ少数派も…選んだ「卵子凍結」 34歳、出産の選択を残して競技生活に集中 費用は「45万円くらい」

体験した卵子凍結の実情「手軽にポンとできることじゃないですが、それでも…」
生理後、卵子を成長させるためと排卵を防ぐために注射と薬の内服を行う。そうして排卵を促し、2日に1度、クリニックに行った。卵胞を育て、卵子がある程度の大きさにならないと採取できないので、検査でそれが流れないように成長状態を確認する必要があるからだ。経過観察する中で採卵日を決定していく。
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「けっこう頻繁にクリニックに通わないといけないので、こんなに行かないといけないのって思いましたし、時間を取られるのでバリバリ働いている人は厳しいなと思いました。排卵を促す際も自分で注射を打たないといけないので、そこに抵抗がある人もいると思うんです。それに費用も45万円ぐらいかかったのでバカにならない。手軽にポンとできることじゃないですが、それでも自分のライフプランを考えるとやって良かったと思います」
尾藤さんは、1回の採卵で13個の卵子を採り、凍結した。個人差があるので、人によっては2、3個しか採卵出来ないケースもある。また、凍結費用も15個までは月3000~4000円で済むが16個以上になると倍額になるケースもある。費用や通院などで二の足を踏む人もいるだろうが、東京都では18歳~39歳の年齢を対象に20万円の補助金を出しており、今後はこうした施策が自治体で増えていくかもしれない。
「いろんな難しさがあって、まだまだ浸透しているとは言えないと思いますが、言い続けていかないと伝わらないし、広がらないと思うんです。私のYouTubeでも卵子凍結について話をしたらロイター通信や名古屋のテレビからも取材がきました。これからも卵子凍結に限らず、女性の体のことについては発信して、いろんな考え、いろんな選択肢があるというのを理解して、選択のひとつとして考えてほしいなと思います」
(終わり)
■尾藤 朋美 / Tomomi Bitoh
プロランナー、インフルエンサー。1990年12月11日生まれ。東京都出身。大学卒業後、保育士として4年勤めていたが、友人の紹介で始めたトレーニングにハマりトレーナーに転職。タレントの藤森慎吾がマラソンでサブ4を達成したことに刺激を受けてマラソンに挑戦し、自身も2018年にサブ4を達成。以降、ウルトラマラソンやトレイルランニングなどに積極的に挑戦し、世界で最も過酷と言われるサハラ砂漠マラソン250キロ、世界全大陸を7日間で回り毎日42.195キロを走る世界7大陸マラソンなど完走。4月に日本人初優勝を目指してサハラ砂漠マラソン250キロに再び挑戦する。
(佐藤 俊 / Shun Sato)
