[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

日本はまだ少数派も…選んだ「卵子凍結」 34歳、出産の選択を残して競技生活に集中 費用は「45万円くらい」

「7大陸マラソン」で南極を走る尾藤さん【写真:本人提供】
「7大陸マラソン」で南極を走る尾藤さん【写真:本人提供】

卵子凍結を選択 競技生活を優先しながら「ママさん選手になってまた走るのもいい」

 生理前の不調や生理痛でパフォーマンスが低下する場合、ピルで調整する選手がいるが、気にならないのであれば尾藤さんのような思考でレースに臨んでも問題はない。怖いのは、どうしたらいいのか分からずに心理面の負担が大きくなり、競技に集中できなくなったり、パフォーマンスに影響が出たりしてしまうことだ。

本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】

「生理との向き合い方は、人それぞれでいいんですけど、ただ情報は伝えていきたいですね。私は、こうだったよということで、参考にしてもらえるといいかな」

 尾藤さんは、生理はコントロールしていないが、妊娠出産は重く考えている。今は競技に集中しているので現実的ではないが、現在、34歳という年齢と将来の妊娠に備え、「卵子凍結」を行った。卵子凍結とは、不妊治療をするための受精卵凍結と異なり、若い状態のまま卵子を保存、加齢による影響が少ない卵子での妊娠を実現するためのものだ。

「アスリートとして、今しかできないことをやりたいですし、サハラ砂漠250キロで優勝したいので走っているんですけど、その目標を達成したら次、ワクワクすることって何だろうと考えたんです。私は、保育士をしていたのもあって子どもが好きなんです。人の子どもでもかわいいので、自分の子どもならもっとかわいいじゃないですか。子どもを産み、ママさん選手になってまた走るのもいいかなと(笑)。また、女性アスリートの可能性を広げていきたいのもあって、卵子凍結を決めました」

 アスリートではスノーボードでソチ五輪銀メダリストの竹内智香、フィギュアスケーター小松原美里らが行っている。いずれも競技をつづけ、自分のライフプランを考える中で、将来の妊娠出産を考え、卵子凍結を行ったが、国内ではまだ少数派だ。

「卵子凍結は、すぐに出来るもんだと思っていたのですが、簡単にできるもんじゃなかったです。体の負担を考えるとオフの時にやるしかなかったので、レースを終えて空港から直接クリニックに行きました。生理が来てから2日以内に行かないといけないので、そこは外せないと思い、初めてピルを飲んで生理日をコントロールしました」

1 2 3

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
CW-X
MLB
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集