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敢えてルーティンを決めずに戦う理由 陸上やり投げ・佐藤友佳、30歳を過ぎて迎えた充実期の源泉

陸上やり投げでパリ五輪出場を目指す佐藤友佳(ニコニコのり)が「THE ANSWER」のインタビューに応じた。30歳を過ぎて充実期を迎えた2020年日本選手権女王。その裏には、ある思考の変化があった。かつてはやり投げが頭から離れず、自分を追い込みすぎたこともあったが、今は「楽しんでナンボ」と向き合っているという。(取材・文=二宮 寿朗、ヘア・メイク=榊 美奈子)

陸上やり投げでパリ五輪出場を目指す佐藤友佳【写真:回里純子】
陸上やり投げでパリ五輪出場を目指す佐藤友佳【写真:回里純子】

「HAVE TO」から「WANT TO」に意識を傾け、今は「楽しんでナンボ」

 陸上やり投げでパリ五輪出場を目指す佐藤友佳(ニコニコのり)が「THE ANSWER」のインタビューに応じた。30歳を過ぎて充実期を迎えた2020年日本選手権女王。その裏には、ある思考の変化があった。かつてはやり投げが頭から離れず、自分を追い込みすぎたこともあったが、今は「楽しんでナンボ」と向き合っているという。(取材・文=二宮 寿朗、ヘア・メイク=榊 美奈子)

柔らかくしなやかに、かつ大きく動かせることができる 小さくても“強いゴム”のようなカラダが、私の理想――陸上・佐藤友佳選手【私とカラダ】

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「HAVE TO」(~しなければならない)と「WANT TO」(~したい)。

 決まりごとをつくるルーティンなどで自分を縛る「HAVE TO」を大事にするアスリートもいれば、逆に縛らないで思うようにやってみる「WANT TO」のほうが合っているアスリートもいる。もちろんレベルアップを図るうえでは両方とも大切な要素であって、どちらに重きを置くかという話。陸上女子やり投げの佐藤友佳は今、後者のほうに意識を強く傾けているように映る。

「ルーティンのようなものは特に決めていません。当てはめてしまうと、特に海外(での合宿生活)になると対応が難しくなりますから。自分のコンディションや状況に合わせながらやっていくほうが自分には向いていると感じます。ウェイトトレーニングで気持ちがちょっと煮詰まったら気分転換を兼ねて山に走りに行くとか、ボートを漕ぐとかそういった意味でも切り替えを大切にしています」

 彼女は今、アスリートとして充実期を迎えている。昨年7月、フィンランドで開催されたモトネットGPオウル大会にて2年ぶりの大台となる60メートル31でGP2勝目を遂げると、9月の全日本実業団対抗選手権でも60メートル12のビッグスローで優勝。今年のパリオリンピックに向けて調子を上げてきているのだ。

 フィンランドでの海外修行をターニングポイントにして2019年に自己ベスト(62メートル88)を叩き出し、世界選手権ドーハ大会出場、2020年に日本選手権初制覇を果たしたが、近年は肘、腰のケガに苦しめられてきた。「ケガがなくなり、30歳を過ぎて体力と技術が安定してきたかなとは感じています」と、本来のパフォーマンスを取り戻しつつあることを実感できている。

 経験値を積み上げてきた中での体力と技術の安定は、マインドセットとも無関係ではない。

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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