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敢えてルーティンを決めずに戦う理由 陸上やり投げ・佐藤友佳、30歳を過ぎて迎えた充実期の源泉

切り替えることを強く意識するようになった佐藤【写真:回里純子】
切り替えることを強く意識するようになった佐藤【写真:回里純子】

かつては「HAVE TO」が強すぎた時期も…

 ストイックなタイプだけに「HAVE TO」が強すぎた時期もあったようだ。食事のエピソードがそれを物語る。

「昔、パワーを上げるために意識的に体重を増やそうとした時期がありました。“食べなきゃ、食べなきゃ”と強迫観念に駆られてしまい、“ああ、食事の時間だ”とストレスになったことで体重が増えなかったんです。だったら好きなものを、好きな量だけ食べて、鉄分など足りないものがあればサプリメントで補うように。試合前は生のものを食べないとか、決まりごとがあるとしたら本当にそれくらいです。

 海外にいるときもバランス良い食事を心掛けてはいます。ただ、ときには日本の即席麺にするときだってあります。ヨーロッパのお米を水多めにして炊いてあげると日本のお米に近い感じになります。日本食が恋しくはなりますが、そうやっていろいろと工夫しながらやっていくのも楽しい」

 何をするにしても、やり投げのことが頭から離れられなかった。しかしそれではフィジカル、メンタルを無理に追い込んでしまっているのだと気づかされた。

「うまくいかないからと逆にガムシャラにやったときもありました。むしろそれが悪い方向に行くことも。何事もそうだと思うんですけど、一度距離を置いて気持ちをリセットすることが大事だなって。

 オンとオフをしっかり切り替えることを強く意識するようになっていきました。与えられたメニューをただこなすだけでは最大限の効果を得ることはできません。しっかりとパワーを出し切ってやり切る。逆にトレーニングから離れたらやり投げのことはできるだけ考えないようにする。集中力を研ぎすますことはケガ予防にもつながっていくと感じています」

 1日のタイムスケジュールの中に食事を含めていい「オフ」が、結果的にいい「オン」を生み出す。やり投げで頭のなかがいっぱいにならないように意識している。

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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