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暑いとパフォーマンスが下がるのはなぜ? 月経周期で体温が変わる女子選手の注意点

月経周期で基礎体温が変化する女性の注意点とは

 さて、女性の場合、月経周期に合わせて基礎体温が変化します。生理が始まる約1週間前の黄体期は、卵胞期に比べて体温が0.5度ほど上昇。そのため、学生から「体温の上昇から、パフォーマンス低下のリスクも高くなるのでは?」という質問が出ます。

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 実際、「高温・多湿」の環境下では、黄体期に影響が出るとの研究報告もあります。高温多湿環境(気温32度、60%)と温暖環境(気温20度、湿度45%)で、それぞれ卵胞期と黄体期に持久性運動をした場合の反応を比べた実験では、高温多湿下では黄体期に、持久性運動をキツイと感じる、運動を持続できる時間が短い、という結果でした。

 こういった報告もありますが、月経周期が持久性パフォーマンスに与える影響については、さらなる研究が必要です。

 ただし、黄体期の女性は普段よりも体温が高くなるのは事実。そのため、特に黄体期は水分補給や練習後のケアを心掛ける必要はあると考えます。とりわけ、発汗量が多く、体温が上がりやすい、日本の夏は要注意です。

 夏は学校が休みになり、追い込む練習に入る部活動も少なくないと思います。適切な水分補給は月経周期と同様、モニタリングが大事。一度、練習前後に体重を計り、1回の練習でどのぐらい体重が減るのかを見てみてください。練習後、減っていた分が「足りない水分量」なので、次の練習からはその分の水分も飲むように、心掛けましょう。

 最後に、発汗すると体が冷えるのは、かいた汗が蒸発するときに皮ふの温度を下げるためです。湿度が高い昨今は、汗が蒸発しにくい環境。例えば氷のうを用意する、送風機や送風ミストに当たるなど、強制的に汗を蒸発させる、体を冷やす工夫も必要と言われています。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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