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女性アスリートが敏感になる体重の増減 「痩せにくい」生理前こそ実は減量に向くワケ

スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第16回は「生理前後の体重変化」について。

「生理前後の体重変化」について須永美歌子先生が解説
「生理前後の体重変化」について須永美歌子先生が解説

連載「女性アスリートのカラダの学校」第16回―「生理前後の体重増減」について

 スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第16回は「生理前後の体重変化」について。

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 ダイエットに興味のある方は、「生理前は体重が増える」とか「生理が終わると痩せやすくなる」などの言葉を見聞きされることは多いと思います。

 一般的に「生理後は痩せやすい」と言われる理由は、女性ホルモンの一つ、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量にあります。なぜならエストロゲンは体脂肪の燃焼に関わるホルモンであり、生理後から排卵日の間に、たくさん分泌されるタイミングがあるからです。

 一方、排卵日から次の生理が始まるまでの約2週間は、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの分泌が高まります。プロゲステロンには、水分を体にため込む作用があるため、生理前は「体重が増える」「痩せにくい」と言われるのです。

 しかし、実のところ生理後にエストロゲンの分泌が「すごく高まる」のは、とても短い期間です。むしろ、「痩せにくい」と言われる排卵日から次の生理が始まるまでの約2週間は、プロゲステロンだけでなく、エストロゲンの分泌も高くなる時期。排卵前のように「すごく高まる」瞬間はなくても、高い状態が長く続きます。

 さらに、体脂肪の分解に関わるホルモン、ノルアドレナリンの分泌も、黄体期(生理前の約2週間)に高まる、というデータがあります。

 ですから、「痩せにくい」「体重が増える」と言われている生理前こそ、ダイエットの「ピンチ」ではなくむしろ「チャンス」だと考えられるのです。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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