女子部活に消えない過度な短髪 「角刈り強制」に涙したバドミントン選手の経験と助言
元バドミントン選手で現在は「アスリートビューティーアドバイザー」の肩書きで活動する花田真寿美さんが「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「女性アスリートと美」について語った。前後編の後編は「女子部活の過度な頭髪規制」について。高校は全国優勝の経験を持つ強豪校出身の花田さん。当時、入学と同時に「角刈り」を強制され、ニキビ顔で過ごした青春時代にコンプレックスを持った。
アスリートビューティーアドバイザー・花田真寿美さんインタビュー後編
元バドミントン選手で現在は「アスリートビューティーアドバイザー」の肩書きで活動する花田真寿美さんが「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「女性アスリートと美」について語った。前後編の後編は「女子部活の過度な頭髪規制」について。高校は全国優勝の経験を持つ強豪校出身の花田さん。当時、入学と同時に「角刈り」を強制され、ニキビ顔で過ごした青春時代にコンプレックスを持った。
現在も同じように強豪校を中心に部活で頭髪規制が設けられ、プレーに励んでいる女子部員は少なくない。そのメリット、デメリットはどこにあるのか。なぜ、その風潮は変わらないのか。実際に経験した花田さんの考えとともに、「アスリートビューティーアドバイザー」の視点で「お金もかけられず、メイクも禁止されている中高生がキレイになるコツ」として、現役世代へのアドバイスを聞いた。
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日本の部活における頭髪規則は男子のみならず、女子もある。バレーボール、陸上、バスケットボールなどの全国大会の中継を見て、男子のように短い髪にチームで統一され、プレーしている姿を目にする機会は決して珍しくない。
男子は野球部で「脱・坊主」を掲げる高校が増加。その風潮が近年はメディアの話題に上がるが、女子は意外とそうした動きは少ない。「アスリートビューティーアドバイザー」として活動する花田さんも「女子の部活の変化は少ないと、私も感じます」と実感する一人だ。
「特に、バレーボール選手は今も(頭髪規制が)残っていると感じますし、以前に元バレーボール選手は『監督が怖かった。もちろん、現役時代にメイクなんて絶対ダメ』と言っていました。風潮として好ましくないと思いますが、それに声を上げる人もいない印象です」
前編で紹介した通り、「女性アスリートと美」を軸にサポートする花田さんの原点は、思春期の体験にある。
バドミントンに励み、高校で全国大会優勝の経験もある地元・富山の強豪校に進学。部は「角刈り強制」だった。入学前から知っていたものの、同期が当たり前のように角刈りにする中で「甘く見ていた」という花田さんは「我慢できるギリギリ」のショートヘアで入部した。
しかし、キャプテンに呼び出しを2度食らい、言われた。「覚悟を決めなよ」「髪は切ってきて」。オシャレ好きで小中学生を過ごした15歳にとっては屈辱的なこと。バドミントン部の“行きつけ”の美容院に行き、髪を切った。鏡に写る自分を見て、泣いた。
一般的に、女子の部活で「頭髪規制」に挙げられるメリットは2つ。
前髪が目にかかり、視界を遮るなどプレーの妨げを回避できることが一つ。そして、花田さんが髪を切って「もう女は捨てて、日本一を目指そう」「高校生活はバドミントンに捧げよう」と覚悟したように“女性らしさ”と決別することで、競技に集中できることがもう一つ。
しかし、花田さんの場合は「なぜ、髪を切る必要があるのか」の説明はなかった。「ルールを疑う余地があることすら分かりませんでした。先生、キャプテンが言うことが当たり前。今となっては当たり前とされていることも疑った方がいいと思います」と振り返る。
決して、頭髪を規制することが“悪”と決めつけているわけではない。ただ、気がかりだったのは、子供に選択権がなかったこと。「この善し悪しについて質問されるたびに難しいのですが……」と言葉を選びながら言う。
「強制されなくていいと思います。私も強制されなかったら、しなかったと思います。もう逃げ道はないと気持ちが変わったことも事実です。ただ、角刈りにしたら結果が出るかというと、必ずしもそうではない。なんでもそうですが、強制ということが好ましくないと思います」