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歴史的連覇の南アフリカに日本ラグビーが学ぶこと 4年後のW杯で再び世界を驚かすためのヒント

4年に1度のラグビーの祭典は南アフリカの優勝で幕を閉じた。4度目の制覇は史上初、そしてニュージーランドと並ぶ2か国目の大会連覇を果たしたことで、名実ともにラグビー最強国となった“スプリングボクス”だが、ベスト8による決勝トーナメント3試合すべてが「1点差」という驚くべき勝ち方で王座を防衛した。1点差の辛勝続きとも思われがちだが、彼らは辛うじて頂点に立ったチームだったのか。現場で直接ゲームを観て感じた、王者が見せた1点差の勝利の実力と、大会全48試合から読み取れる世界のラグビーの流れを振り返る。(取材・文=吉田 宏)

ラグビーW杯連覇を果たした南アフリカ代表。準々決勝からすべて1点差勝利という歴史的死闘を演じての戴冠だった【写真:Getty Images】
ラグビーW杯連覇を果たした南アフリカ代表。準々決勝からすべて1点差勝利という歴史的死闘を演じての戴冠だった【写真:Getty Images】

ラグビーW杯フランス大会総括

 4年に1度のラグビーの祭典は南アフリカの優勝で幕を閉じた。4度目の制覇は史上初、そしてニュージーランドと並ぶ2か国目の大会連覇を果たしたことで、名実ともにラグビー最強国となった“スプリングボクス”だが、ベスト8による決勝トーナメント3試合すべてが「1点差」という驚くべき勝ち方で王座を防衛した。1点差の辛勝続きとも思われがちだが、彼らは辛うじて頂点に立ったチームだったのか。現場で直接ゲームを観て感じた、王者が見せた1点差の勝利の実力と、大会全48試合から読み取れる世界のラグビーの流れを振り返る。(取材・文=吉田 宏)

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 ピッチ内での戦い、特に決勝トーナメントの8試合は、過去最高レベルのゲームばかり。その激闘の中で、南アフリカ代表“ボカ”ことスプリングボクスが連覇を遂げて、51日間に及んだワールドカップ(W杯)フランス大会は終わった。チャンピオンの決勝トーナメントは、驚くべきスコアの連続だった。

準々決勝・フランス戦 29-28
準決勝・イングランド戦 16-15
決勝・ニュージーランド戦 12-11

 最少得点差の勝利のみで優勝したチームは過去にはない。決勝戦が接戦になることは珍しくなく、1点差の優勝は2011年大会のニュージーランド(フランスに8-7)に次ぐ2度目。1995年大会は12-12の同点で80分を終え、延長戦で南アフリカが今回同様にニュージーランドを15-12で倒している。

 だが、どの大会のチャンピオンも、どこかで盤石の強さを見せて勝ち進み、結果的に王座に就くのが常だ。決勝トーナメント以降のすべてのゲームが、終盤に自陣で反則を犯せば勝敗がひっくり返るスコアで頂点に立ったのは、今回の南アフリカだけだ。

 では、彼らの戦いは薄氷の勝利だったのか。決勝トーナメントでの戦いぶりをすべて現場で目の当たりにすると、むしろ盤石の強さで頂点に立ったというのが実感だ。

 もちろん、わざと1点差を狙ってゲームを進めるということではない。南アフリカのゲームを観て感じるのは、何点を獲るかではなく、何で相手を凌駕するのかという彼らの哲学であり、流儀だ。過去のコラムでも、このチームの戦い方を何度か「真綿で首を締める」と書いたが、今大会での戦いぶりを振り返ると、さらに強固な、勝つための揺るぎない鉄の掟のようなものを感じる勝ちっぷりだった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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