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W杯で期待する「序列を覆す挑戦」 適性見抜いた恩師が信じる板倉滉&田中碧の才能

現在はJ3のテゲバジャーロ宮崎で監督を務める高崎康嗣氏が教え子たちにエールを送った【写真:TEGEVAJARO MIYAZAKI】
現在はJ3のテゲバジャーロ宮崎で監督を務める高崎康嗣氏が教え子たちにエールを送った【写真:TEGEVAJARO MIYAZAKI】

「全員の力を100%引き出せる」田中碧の才能

 その後U-18のキャプテンとしてトップ昇格を果たすが、なかなかコンスタントに出場機会を得られず2018年に仙台へ期限付き移籍。一気に欧州進出の道が開けた。

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「やはり川崎では出番を確保するのが難しく、試合を求めていたんだと思います。だから仙台から声がかかった時は、『じゃあ行きます』という感じでした。結局仙台で年間を通して使ってもらったことが大きかった。それで海外のスカウトも動いたと聞いていますから」

 髙﨑は、板倉のようなタイプが、将来トレンドになるのではないかとも見ていた。

「ゴールを目指すセンターバック。セットプレーでのヘディングだけではなく、攻撃を組み立てミドルシュートも決めてくれるようなイメージですね。僕の好きなタイプなんです。今の滉は、その通り、しっかりスケールアップしてくれています」

 一方、田中碧はコツコツと積み重ねた努力が実ったタイプだという。

「最初会った頃は、華奢で弱々しくてクネクネした甘えん坊でした。1歳上に三笘薫がいたので、いつも『薫くん、薫くん』とくっついていっていた。でも練習試合などを含めてあまり勝てていないチームに所属した子の特徴なのか、とにかく危機察知能力が高く、いつも危ないところに顔を出せる。運動量が本当に多くて、アップ&ダウンを全く惜しまず、ボックス・トゥ・ボックスが可能な唯一のタイプでした」

 守備では危ないところを、攻撃ではチャンスを嗅ぎ分ける力を発揮する。だからW杯アジア最終予選のオーストラリア戦でスタメン起用され、先制ゴールを決めた時も「不思議でもなんでもなく、やっぱりあそこにいたか、という感じ」だったという。

「碧の一番優れているのは、全員の力を100%引き出せることです。国体のチームを率いた時も、碧に一言伝えておけばみんなに広がり、どんどん仲間の力を引き出してくれた。碧と一緒にプレーすると、みんな気持ち良いと思いますよ。そういう意味でも、まさに今のポジションが適性です」

 典型的な一人っ子気質で、口を出さなければのんびり屋だが、反面一言で変わっていく生真面目さも備えていたという。

「碧には『遊んでいる時間はない。人一倍頑張れ』と要求してきました。会えば『はい!』『分かりました』『頑張ります』と、3パターンくらいしか返ってきませんでしたが、とにかく言われたことは必ず信じてやってみる。それで『本当だ』と実感できれば変わっていく。そんなことの繰り返しでした。国体では月に1度のトレーニングで修正をかけたのですが、そのたびに考え方が良くなり進化していった」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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