100kg超に挑戦、66kg級・阿部一二三が狙う「伝説」の再現「子どもに夢を与えられるのが…」
体重無差別で柔道日本一を争う全日本選手権が29日、東京・日本武道館で行われる。選手ルール説明会が行われた28日には、有力選手が東京・文京区の講道館で会見。66キロ級で東京、パリ五輪連覇で初出場となる今大会の「顔」になる阿部一二三(パーク24)が「しっかり投げにいく技で勝負して、会場を盛り上げたい」と抱負を口にした。

体重無差別で行われる柔道・全日本選手権
体重無差別で柔道日本一を争う全日本選手権が29日、東京・日本武道館で行われる。選手ルール説明会が行われた28日には、有力選手が東京・文京区の講道館で会見。66キロ級で東京、パリ五輪連覇で初出場となる今大会の「顔」になる阿部一二三(パーク24)が「しっかり投げにいく技で勝負して、会場を盛り上げたい」と抱負を口にした。
昨年の覇者で連覇を狙う中野寛太(旭化成)、この大会が個人戦での引退試合となる東京五輪金メダリストのウルフ・アロン(パーク24)に挟まれた「センター」で、阿部は会見に臨んだ。記者の質問も集中。これまで階級制で負けられない試合を続けてきただけに「ワクワクする気持ちが強い」と話した。
66キロ級の阿部は100キロクラスの選手たちの主戦場でもある全日本の挑戦について「ずっと出たかったが、チャンスがなかった。タイミングが合った今回が最初で最後」と話した。今月初めには体重別選手権に出場し、6月には世界選手権がブダペストで行われる。五輪翌年で他に比べると余裕があるとはいえ、厳しい戦いに挑むのは「全日本は特別な舞台で、自分の柔道レベルを上げてくれると思う」という。
阿部の挑戦に多くの柔道ファンが、そして阿部自身が思いを馳せるのは、1990年大会での古賀稔彦の「伝説」だ。71キロ(当時)だった古賀は得意の一本背負いで100キロ超えの選手たちを次々と撃破。決勝では前年の世界選手権95キロ超級と無差別級2冠の小川直也に敗れたが「柔よく剛を制す」を体現した「平成の三四郎」の姿に、超満員のスタンドは大興奮。テレビ中継で多くのファンが柔道の魅力に酔った。
阿部は「軽量級だからこそ、会場を沸かせられる。古賀先生のように軽量級でも重量級と戦えるということをみせ、子どもに夢を与えられるのが全日本選手権。そういうことを意識しながら頑張りたい」。35年前とはルールも違えば環境も違う。「簡単に優勝とは口にできない」と言いながらも、柔道の魅力を発信することを目指す。
今大会にはパリ五輪60キロ級3位の永山竜樹や73キロ級の橋本壮一(ともにパーク24)も出場する。全日本選手権のルールとして昨年から延長戦が廃止されて旗判定が復活したことや、今年から立ち姿勢からの下半身への攻撃が可能になったことなどで、軽量級選手への期待もふくらむ。「平成の三四郎」に続く「令和の三四郎」が誕生するのか。スター選手たちの出場が、全日本選手権を盛り上げる。(荻島弘一)
(THE ANSWER編集部)