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W杯日本代表、なぜ“大学経由”選手が急増? 02年大会以降で最多9人の背景にある事情

守田英正は流通経済大時代に飛躍し、プロ3年目で欧州移籍、5年目でW杯に辿り着いた【写真:竹中玲央奈】
守田英正は流通経済大時代に飛躍し、プロ3年目で欧州移籍、5年目でW杯に辿り着いた【写真:竹中玲央奈】

Jリーグのルーキーより多くの公式戦を経験できるメリット

 その明治大を上回るために周囲の大学も切磋琢磨し、自然とレベルが上がっていく。そして、そのハイレベルな関東勢を倒すことを目標に、福岡大や大阪体育大、新潟医療福祉大など地方の強豪が日々のトレーニングやスカウト活動に力を入れる。こうやって、大学サッカーのレベル向上の好循環が回っていくのだ。

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 そんな大学サッカーで、年間を通して公式戦という真剣勝負を経験できるメリットは大きい。18歳でプロ入りし、1年目から主力としてフルにJリーグなどの公式戦を戦える高卒ルーキーは少なく、それに比べれば大学のほうが入学初年度から主力として試合に絡める可能性は高い。

 もちろん、高卒でプロの世界に飛び込み、練習をすることで成長する部分もあるかもしれないが、筆者個人としては、どれだけ真剣勝負の舞台で力を発揮できるかが、選手のその後の成長を左右すると考えている。高卒でプロとなり、3、4年目までを練習試合メインで過ごすのか、同世代のプロ予備軍が集まる集団の中で公式戦を消化するのか――。両者で得られる結果は全く違うものになるだろう。事実、U-21日本代表とU-21大学選抜が試合をして、後者が勝つことは珍しくない。

 真剣勝負の公式戦を重ねて得られる“キワ”の感覚や経験値は大きいのだ。また、大学ではサブ組のIリーグもあれば、1年生チームを各地域のリーグにおいて社会人チームと競わせる場もある。実戦経験の豊富さが、プロ入り後の活躍につながっていることは間違いない。

 ハイレベルな環境に加えて、もう1つ大きいのが心身の成長である。高校卒業時点でプロ入りが叶わなかった選手が、大学入学後に直面するのがフィジカルの差だ。前述のように、関東1部に所属するチームではプレッシャーの速さや球際の攻防における強度が、高校時代のそれとは比にならず、練習参加時に面くらい、自信を失う選手が多数いる。

 しかし、1、2年戦い続けることでそういった場所で戦うタフさが身につき、本来の技術を発揮できるようになる。フィジカル差をものともしない圧倒的な技術や判断力、怖気づかないメンタリティがあるに越したことはないが、高校卒業時点でこのような資質を持つ選手は少ない。大多数は大学に進学することで、ブレークスルーを果たす可能性がある。

 福岡大の乾真寛監督は「高校生は心身ともに未成熟な場合が多い。18歳以降でフィジカルや思考力が育まれて、大学生活のどこかでブレークする」と語っていたが、まさにこの通りである。

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