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古代ギリシャのアスリートは何を食べてた? 知ってみると興味深いスポーツ栄養の歴史

3つ挙がったキーワード、その意味とは…

「Nutrition training」とは、言葉通り「栄養とトレーニング」を統合したトレーニング計画のことです。アスリートたちは皆、シーズン単位でトレーニング計画を立てて、実行しています。その際、必ず栄養の摂り方もセットで考えて計画を立てていくことが、今後ますます重要視されるであろうと予測しています。

 次に「Real food not nutrients」。アスリートも栄養のほとんどを、サプリメントではなく食べ物から摂っています。これまでは特定の栄養素のみを取り出した研究が主でしたが、今後は食べ物そのものにフォーカスした研究が進むのではないか、とのことです。

 現に、例えば、サイクリングの選手を対象に、水か市販のゼリー飲料、じゃがいものピューレを摂取させて、体内での糖質の利用と運動パフォーマンスへの影響を調べるなど、食べ物がアスリートにどう影響するのかの研究が行われています。

 特定の栄養素を使った短期間の研究結果は、アスリートの実生活とは異なります。本来のあるべき方向に向かっているのではないか、と教授は述べていました。

 最後の「Personalized nutrition」は、個々にあった食事の指導の重要性です。人の体は一人ひとり異なります。トレーニングと同様、最大限の成果を出すためには、やはり個々にあった栄養サポートが必要になるであろう、ということです。

 サプリメントではなく食べ物をどういうタイミングでどのように摂るかが注目され、食事もトレーニングの一環である、と重要視される。このことから私個人が感じたのは、世界的にサプリメントの市場が拡大する一方、海外のスポーツ関係者やアスリートの間では、より自然で環境や体にやさしい食品を求める傾向が強くなっているのではないかということです。

 そして、パーソナライズされたスポーツ栄養の必要性は、現場に立つスポーツ栄養士は皆、感じていると思います。

 現在、年間スケジュールに合わせた食事計画を立て、継続的にサポートを受けているトップアスリートも増えてきました。しかし、栄養サポートを取り入れることは時間もコストもかかるため、一部の恵まれた環境の人に限るのが現状です。

 今後、一人でも多くのアスリートたちが、自分の体にあったトレーニングと食事を実行するためには、食事の摂り方、選び方、作り方、飲料の飲み方はもちろん、寮や食堂のメニュー調整、選手のご家族へのサポ―トなど、多様なニーズに応えていかなければなりません。

 そのためには、監督、コーチングスタッフ、メディカルスタッフ等と選手の情報を共有することがこれまで以上に重要となると考えています。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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