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好きな物しか食べない日本の子供 世界で活躍する選手へ「食べる力」の重要性

Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「世界のスポーツ栄養士に聞いて感じたこと」について。

子供の「食べる力」を育む上で幼少期の食事体験は重要である
子供の「食べる力」を育む上で幼少期の食事体験は重要である

公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載「世界のスポーツ栄養士に聞いて感じたこと」

 Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「世界のスポーツ栄養士に聞いて感じたこと」について。

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 昨年から今年にかけて、トップアスリートをみているアジア、欧米、中南米、アフリカ地域、12か国のスポーツ栄養士のインタビューを行ってきました。

 毎回、各国の食文化とアスリートのコンフォートフード(試合前や合宿、遠征時などで選手たちに欠かせない、いわゆる勝負飯)をテーマに話を聞きましたが、なかでも興味深かったのは、多様な食文化が混在する国です。

 様々な民族から成る国では、それぞれの食文化が日常に混在しています。例えばシンガポールは、主に中国系、マレー系、インド系の民族で構成され、食事もそれぞれの食文化が融合しています。

 代表的なシンガポールフードは、スパイスやハーブ、唐辛子をふんだんに使い、甘み、塩気、酸味のある味つけが特徴です。中国系料理であれば、ワンプレートにご飯と好きな総菜を盛る「エコノミーライス」、同じスタイルでマレー系料理の「ナシパダン」、魚介の練り物、野菜、卵などをスープで煮込んだシンガポール版おでん「ヨンタオフォー」。必ずしも低脂質ではありませんが、高炭水化物・高たんぱく質のこれらの料理は、選手たちのコンフォートフードでもあります。

 さらに、シンガポールはアジアきっての国際都市。栄養士の方曰く、選手たちは幼少から世界中の味を受け入れる国際的な感覚があるため「自国の味にこだわらず、どの国へ行っても何でも食べられる」と話していました。
 
 同じアジアのインドは、「人の健康状態は何を食べているかで決まる」という、インドの伝統医学・アーユルヴェーダの考えに基づいた、伝統的な食文化があります。ただし、インドは国土が広いため、地域によって味付けや素材が異なり、実は「代表的な料理はこれだ」とは明確に言えないそうです。

 そういったなかでも特徴を挙げると、主食は全粒粉を使って焼いた無発酵の薄焼きパン、ロティやチャパティ、あるいはインディカ米であること。日頃から10種類以上のスパイスを使った料理を食べていること。そして、豆やフレッシュチーズ、カレーを摂っていること。以上が、アスリートを含むインド人の一般的な食事です。

 アスリートが日常よく食べる食品には、さつま芋、アマランサス、ラギ(ひえの一種)などの穀物、トマト、ナッツ、卵、デーツが挙げられます。

 デーツはナツメヤシという木の実です。日本でも健康志向の方を中心に栄養価の高いドライフルーツとして知られていますが、糖質や鉄、カルシウムが非常に豊富。インドの選手たちはこれを、試合後やトレーニング後のリカバリー食にしています。

 インドの栄養士によると、インドの選手は日ごろから10種類以上のスパイスを使った料理を食べ慣れているため、世界中どこの国へ行っても、その国の料理を受け入れられる味覚を持っている、とのことでした。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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