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好きな物しか食べない日本の子供 世界で活躍する選手へ「食べる力」の重要性

「食べる力」を育む上で重要な幼少期の食事体験

 最後は中米のカリブ海に位置するアンティグア・バーブーダ。元々はイギリスの植民地であり、アフリカのほか、イギリス、スペイン、フランス、オランダなど多国の食文化の影響を受けています。伝統的な料理はコーンミールに水とおくら、塩を入れて団子状にした主食、フンジー。そして、ナス、カボチャ、パパイヤ、小麦粉で作った団子、生の肉を塩や酢でつけたものを入れたシチュー「ペッパーポット」。ベジタリアンは肉の代わりに、豆を入れます。また、島国のため新鮮な魚介類も食べられています。

 海外遠征時に欠かせないものは、クラッカー、そしてソーセージ缶とツナ缶。食事環境のよくない国や地域に行くこともあるので、しっかりリカバリーをするために、缶詰のタンパク源は欠かせないとのこと。ツナ缶はメキシコの栄養士も、海外遠征時に欠かせないリカバリー食として挙げていました。

 今回挙げた各国のスポーツ栄養士が共通して言っていたのは、「選手たちは幼少から色々な国の料理や食材、スパイス、食文化に触れ、様々な味を受け入れられる準備ができている」ということです。

 長く、世界で活躍する選手には「食べる力」も必要です。世界12か国のスポーツ栄養士のインタビューを終えて、食べる力を育む上で、幼少期の食事体験の重要性を改めて感じました。

 現在の日本の子供の食生活の調査をみると、好きなものしか食べない傾向がみられます。しかし将来、どこへ行ってもよいコンディションでプレーできる選手を目指すのであれば、子どもの頃から、何でも食べて、味覚の幅を広げることは、とても大切なことだと思います。

 国内外問わず、遠征先や合宿先で「食事が口に合わない」という選手は、真っ先にコンディションを崩します。

 日本を飛び出し、海外に遠征したり、あるいはその国でプレーを続けたりとなると、食環境が恵まれていない、整っていない国や地域、あるいは宿泊先で、思うような食事が摂れないこともきっとあるはずです。もちろん、困らないように缶詰や米や味噌汁などを準備することも大事。しかしそれだけでなく、子どもの頃からいろいろな食べ物の味や匂い、温度、食感、舌触りを体感すること、食わず嫌いにならず、苦手だと思っている食材や料理にもチャレンジしたりすることも大切だと思うのです。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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