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中古車店で聞かれた「大丈夫なの?」 経営不振の日産自動車、16年ぶり復活野球部「辞退者ゼロ」の裏側

復活初年度の中心打者として期待される石飛【写真:羽鳥慶太】
復活初年度の中心打者として期待される石飛【写真:羽鳥慶太】

プロを考えた逸材も…日々の挑戦が会社にもたらす好影響

 内外野に加えて、捕手にまで挑戦している石飛智洋は、中心打者として期待されている。天理大時代には昨年の全日本大学選手権で、大会記録に並ぶ7打席連続安打。大会後はプロ入りも「頭をよぎらなかったと言えばウソですね…」という逸材だ。

 ただこちらも、チャレンジに魅力を感じた。「中々進路が決まらない中で伊藤監督ともお話しさせて頂いて、新しくスタートするチームの一員として活躍したいと思ったんです」。会社の経営が厳しいことは嫌でも耳に入ったが「GMや監督にも説明して頂いて、心配ないと。まず野球に集中させてもらえることに感謝です」。2年後のプロ入りまで視野に入れて、技術を磨く。

 1日付で、石毛は本社人事本部、石飛は同じく日本営業本部フリート営業部に配属され、社会人としての第一歩を踏み出した。当面は午前は寮のある横須賀で練習し、午後に出社して業務という流れだ。6月末に開幕する都市対抗野球の予選が試金石となる。同地区にはENEOSや東芝といった古豪、昨夏の都市対抗を制した三菱重工Eastといった強豪が居並び、勝ち抜くのも至難の業だ。

 会社が野球部の復活を決めた2023年の夏から、大きく経営環境は変わった。伊藤祐樹監督は、この状況でも復活が覆らなかった意味を「これから会社が復活する中で、それぞれの職場で大きなチャレンジをしなければいけなくなる。野球で我々が強豪にチャレンジするのと同じだと思っています。全員で前に進んでいきたい」と口にする。大きな組織を変えるのも、一人一人の行動だ。部の活動が、会社に好影響を与えると信じている。

 野球部員たちは、日常的にチャレンジを繰り返している。石毛は練習開始以降「手探り」でチームを作ってきた。打撃一つとっても「投手の球を打って、スイングの力が足りなければどう強く打てるのか考える。まず自分の身体をコントロールして、打球の質を上げていければ」。昨日より今日、今日より明日は良くなろうとする姿勢が、業績回復を目指す日産自動車に広がっていく。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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