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ダルビッシュも認めた 25歳の元早実エース、「107日間の米挑戦」で決めた第二の人生

ジャッカルズ在籍当時の内田、その後に起きた予想外の出来事とは…【写真:本人提供】
ジャッカルズ在籍当時の内田、その後に起きた予想外の出来事とは…【写真:本人提供】

予想外だったダルビッシュとの出会い、超一流投手との4日間で得たものとは

 JX-ENEOSで戦力外を受け、以来、自分の可能性を閉ざさず、努力してきた。この挑戦のために会社も退社した。しかし、球団の事情に振り回され、本来の実力を発揮することができず、1年半かけて掴んだ夢の挑戦は、たったの3週間で終わった。それでも「本音としては自分の力を出せなかったことはあるけど、それは自分自身の問題でしかない」と言い訳することなく、前を向いた。

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「結果は置いておいて、1年間ブランクがあってもやることをやれば、それなりの舞台に戻ってこられると証明できた。もともと“明日クビになる”という世界。自分が在籍した期間でも10人くらい入れ替わった。そういう場所と理解していたし、結果が出なかった時点である程度の覚悟はしていた。ショックがないわけじゃないけど、『じゃあ、次にどう動くか』はすぐに考えられた」

 どん底からはい上がってきた男は、ただでは転ばなかった。7月、エージェントとともに次のチームを探した。米国内でいくつかの話が持ち上がり、なかには台湾プロ野球から入団テストの打診もあった。しかし、どれも最終局面で頓挫。8月には新たな動きに出た。「どこもシーズンはあと1、2か月ほど。今からの契約するのは難しい」。向かったのはミズーリ州のセントルイスだった。

「P3」というピッチングを専門に指導する野球アカデミーの門を叩いた。米国では競技ごとに専門的な指導をするアカデミーの存在が一般的だ。高校、大学などは日本と異なり、夏休みや冬休みの間は部活も休みになる。その間、選手たちは専門のアカデミーに通いトレーニングしている。「P3」はメジャーに進む選手が近年増えており、米球界でも注目されている存在になっていた。

 自らの能力を上げるとともに、少しでも最先端の野球に触れたかった。「トレーニングとスローイングのドリルがメイン。日本だったら受け入れられないようなメニューも普通にある。それが、新鮮だった」。1か月に及んだ武者修行。実はこの体験が後のキャリアの決断に大きく関わってくる。そして、8月末に今回の米挑戦で最も大きな出会いがあった。きっかけは「SNS」だった。

 ツイッターを何気なく見ていると、カブスのダルビッシュ有投手がシカゴ近辺でプレーする日本人独立リーグ選手を自宅のパーティーに招待しているやりとりを見かけた。図々しいと理解しながらも行動せずにはいられなかった。自分の経歴を明かした上で「よろしければ、参加させてもらえないでしょうか」とお願いした。すると、なんと快諾され、シカゴに行くことになったのだ。

 驚きはこれだけで終わらない。挑戦を知ったダルビッシュからキャッチボール相手に指名され、一緒に練習した。さらに、カブスの本拠地リグリー・フィールドのブルペンでピッチングを見たダルビッシュに「めちゃくちゃいいよ」と褒められ、アドバイスまで受けた。苦手だった速いスライダーを教わると、その場で球速が5キロ上がり、「今までにない感覚」と信じられなかった。

 行動を共にした4日間。一番の財産になったのは、メジャーの第一線で活躍する姿を間近で感じられたことだ。

「あのレベルでプレーをされている方でも『どうすれば野球がうまくなるか』をずっと考えている。ちょっと一緒に行動を見ているだけでも、ボールの握りから細かいところまで、凄くそう思ったし、同じ野球人として感じるものがあった。自分みたいなレベルの選手はもっと考えなきゃいけないと思わされた。与えられている時間は有限だし、無駄にできないと。本当に尊敬しました」

「とにかく、行動だけは続けようと思った」という信念で奮闘した挑戦は終わりを迎え、大きな動きが起きた。

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