球速戻らず引退決断…元ハム剛腕が感謝する「特別な対戦相手」 通算被打率10割、一発くらい笑った理由――石川直也

節目の翌日、一発くらい思わず笑顔「どんだけ相性が悪いんだと……」
2人がプロ野球選手として初めて向かい合ったのが、今年6月7日の釧路市民球場だった。石川が8回からマウンドに立つと、最初の打者が途中出場していた今川。そして初球を左越え本塁打とされた。
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悠々とダイヤモンドを一周する今川。試合後に食事を共にした石川は、もう「まっすぐは投げない」と宣言したのだという。そして迎えた再戦の機会。8月1日の新潟では8回2死から対戦すると、再び初球ストレートを左翼スタンドに運ばれた。三塁を回った今川と二人、はっきり笑いあうのがカメラマン席から見えた。
約束違反のストレート。「僕は変化球でいいと思っていたんですけど、(捕手の)伴在がサインを出してきて……」。しっかり打たれたところで思わず目が合い、笑ってしまったのだという。実はこの時、石川は半ば引退を決意していた。オイシックス入りしたとき、1年でNPBに戻れなければやめようと決めていた。補強期限の7月31日が過ぎ、これが最初の登板。「ここで対戦できたのも、何かの運命だと思うんです。野球人生の楽しさというか」。さらに微笑みながらこう続ける。
「甲子園でも初球を打たれましたし、これまで3球しか投げていないんです。それで全部ヒット、2ホーマーですからね。どれだけ相性が悪いんだと……」

9月27日、ロッテとの今季最終戦で石川は現役最後のマウンドに立ち、1回を無失点に抑えた。今季2軍ファーム・リーグでの成績は53試合で5勝4敗1セーブ、防御率4.22。かつて1軍の打者を圧倒した球速は肘の手術後、最後まで戻らなかった。それでも「こんな試合数はここ数年投げたことがなかった。やり切ったとは思います」。さらに全盛期が重なることのなかった今川への思いを、こう言葉にする。
「18歳で対戦して、また30歳になってからも対戦できたのは本当によかったです。自分の野球人生の中でも特別なバッターというか、対戦相手でした」。今後は未定だが、野球には関わり続けたいと考えている。今川との縁にもきっと、新たな1ページがあるはずだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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