エディージャパン熟成を加速させる2人 「まさに日本の9番に相応しい」23歳と25歳、若きHBコンビの奮闘を検証
後半からFBに下がってプレーした李は新境地を開拓
HB団の中でも藤原に焦点を当ててきたが、李も新境地を開いたゲームになった。後半12分に、控えメンバーだった立川理道主将(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が登場すると李は従来のSOからFBに下がってプレーした。
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所属する神戸Sでは昨季経験したものの、テストマッチでは初めて“しんがり”に入った李は「(FBでプレーすることは)言われてなかったですね。でも(立川)ハルさんから、山沢(拓也、埼玉WK)さんが抜けた時に15番もありかも知れないと聞いていたので、心の準備はしていた。神戸での経験が生きたと思います。ディフェンスのポジショニングだったり、10番(立川)とコネクションしながらアタックしていくところですね。テストマッチで経験できたのはよかった」と新しい挑戦にも前向きだ。
この試合で先発したFB山沢も、代表、所属チームでFBとSOを兼務しているが、南アフリカやニュージーランドら世界の強豪国でも複数のポジションをカバーする選手を重視する傾向が高まっている。このユーティリティーを利用して、控えメンバーのFW、BKの人数を変えられるなど、とりわけW杯のような短期決戦では戦略的な重要度を増している。エディーも、この日に李のFBコンバートについては「チームにとって大きなボーナス。立川がゲームをコントロールして、(李)承信が賢明にいいキックをするなど、戦術面でとてもよかった」と満足そうに語っている。
まだ若いメンバーに経験値を積ませ、コンビネーション、コミュニケーションを含めて“ワンチーム”への進化過程にある第2次エディージャパン。取り上げたHB団も、2027年までのポジションを何ら保証されていないのが現実だが、ゲームのオーガナイズという課題に1歩ずつながら成熟が見えてきた。戦術面に、チーム始動時から取り組むダブルタックルも機能させて、世界21位(対戦当時)のカナダ、そして同19位のアメリカからは勝利という結果を奪い取った。ランク13位のサモアとの準決勝、そして、おそらく勝ち上がって来るだろう同10位のフィジーとの決勝が、チームの熟成をさらに促すことになる。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)