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ドーピング違反で考えた「死」 身に覚えのない不正、五輪を絶たれても…今、生きてスポーツをする理由――競泳・古賀淳也

死を考えてなお「生きる側」に戻ってこられた理由とは【写真:中戸川知世】
死を考えてなお「生きる側」に戻ってこられた理由とは【写真:中戸川知世】

なぜ、生きる側に戻ってこられたのか「水泳での経験を…」

 今までいいレースができない時、「それはそれ」「次に向けてどうするのか」と切り替えを徹底してきました。あの時は2、3週間かかってしまったけど、僕の中ではかなり早い方。4年を前提に水泳を諦めたことで「次に向けて全力で戦う」と切り替えられるようになりました。

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 とにかく摂取ルートの特定が必要でした。ただ、コストと時間がかかる。足踏みが続いた結果、最初は明確なルートが出てこなかった。でも、僕はやっていないし、検査をやり直してでも証明したい。FINA(世界水泳連盟)の聴聞会のため、弁護士、通訳など4人でスイスに行きましたが、渡航費用や報酬は全て自腹です。貯めていたものはほぼ全てなくなりました。

 結局、原因は栄養を補完するために使っていたサプリメントに禁止物質が混入していたことによるものでしたが、故意の摂取ではないことが認められ、資格停止期間は2年になりました。

 2年ぶりに入ったプールは気持ちよかった。すぐに足がつりましたね(笑)。でも、ずっと笑顔。体や感覚の変化に対するネガティブな気持ちより、水に触れ合うポジティブな気持ちの方が圧倒的に大きい。「しっかりと体を動かして水泳をしてるんだ!」って。それが嬉しかったですね。

 なぜ、生きる側に戻ってこられたのか。水泳での経験をあの出来事にも上手に生かすことができた、これが大きいです。水泳で得たのは1度のレース結果に固執するのではなく、1回ずつ切り替えること。次はどうするのか、これを繰り返す。

 起きてしまったことは変えられないし、誤解を生むような結果が出てしまったのは間違いない。水泳から離れざるを得なくなってしまったけど、僕が離れただけであって、好きなもの、一生懸命に打ち込んでいたもの自体は動かずそこにあります。

 だから、他の問題にも「これはこれ」と受け止めた上で切り替えて、競技にどう真摯に向かっていくのか。やっぱり水泳が大好きですし、速くなるだけではなく、楽しみながら自分の泳ぎを向上させていこうと。それが周りにもいい影響が出る。水泳をもう一回やろうと決意できたし、もう一度戦う気持ちになりました。

 もちろん未練はあります。「もし何も起きていなければ」と。でも、それは普通に水泳を続けていても「あの時にこうしていれば」と思って起こりうること。だから(陽性も)その延長です。次に向けて改善し、より突き詰めていく。それが楽しい。水泳を始めた5歳の時から一緒です。

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