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なぜ「走り」は働く人に刺さるのか “走りとビジネス”に共通する「PDCAの思考学」

「走り」がビジネスパーソンに“刺さる”理由とは

丸山「今、スポーツ界は『見せ方で今あるものをどうやって良くするか』という考え方が主流。でも、今の秋本さんたちの活動は、あるものをしっかりと磨き上げて、社会に対して価値のあるものを発信していこう考え方です。スポーツの本質に向き合った活動であり、この点で、ほかの方々と圧倒的に違う。『0.01』の活動の広がりは将来的に、スポーツの様々な見方の発信にもつながると思いますよ」

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北田「先ほど触れたように、走りも健康という資産につながりますよね」

伊藤「ところが健康目的でランニングを始めたのに、膝を痛めて走れなくなる市民ランナーが、今、非常に多い。一般ランナーの75%はかかとから着地するというデータがありますが、実はかかと着地は脚への衝撃が非常に大きい。つまり、街を走っている人のほとんどが、体に大きなストレスをかけているのです。長距離を走る時もまずは走りを整えることが大事だと考えています」

北田「ただ、距離を走ればいいということではないんですね」

秋本「そうなんです。例えば、多くのスポーツは走り込むことが重要だと言われます。トップアスリートは自分のやっているスポーツは深掘りし分析するのですが「走り方」までも分析している僕が出会ってきたアスリートにはほとんどいませんでした。そこで、どうすれば納得してもらえるかを考え、動画に撮って本人に見せるサービスを始めました。動画は非常に効果的。『やっているつもりだったけど、できていなかったんだな』と、皆さん、客観的に見て納得します。「走り方」まで考えられると走り込みも意味のある走り込みに変わっていきます」

丸山「0.01の指導が素晴らしいのは、相手の競技の走り方に、しっかり寄り添って話す点ですよね。サッカー選手に教える時は、サッカーから深掘っていき、究極、走りに行きつくように導いていく」

秋本「僕らはまず『サッカーと陸上では走り方が違う』という相手の見方を、どう変えていくかを重要視しています。陸上の理論で『ボルトはこう走る』と解説しても『いや、陸上と違って直線を走るだけじゃないし』と否定されがちです。そこで、足が速くなる理論はこう、ボルトの速さの秘密を紐解くとこう、だから実は、ロナウドやエムバペのスピードにも共通しているんですよ、と落とし込む。そうすると、競技が異なる相手でも腑に落ちてくれるアスリートが多いです。僕は、走りのトレーニングの前に1時間走りについての座学をやらせてもらっています。その座学で陸上もサッカーも野球も共通しているポイントはあるんだと納得してもらえるような資料を揃えています。座学後のトレーニングでは選手だけでなく監督やコーチ、スタッフの方までも走ってくれているのを見ると嬉しくなりますね」

丸山「走りとビジネスには何のつながりもなさそうですが、0.01のアプローチは、ビジネスにも応用できますよね。走りを因数分解すると、気持ち良さ、姿勢の良さ、ボディメイクなどにつながる道筋が明確になる。正しい走り方をすれば筋肉もいい感じについてキレイな体になりますし、体のケアやコンディショニングのために走る場合も、走りの正しいPDCA(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善)を理解することで効率的に目的を達成できます。ビジネスパーソンには、自分で考え、理屈を理解するのが好きな方たちが多い。だから『走り』はビジネスパーソンに刺さると考えます。トライアスロンというマネジメント力が必要な競技の愛好家に、経営者が多いことと一緒ですね」

伊藤「はい。その感覚を企業研修に落とし込めないかなと考え、今年からプロジェクトをスタートしました。走りを通じて自分を客観視することは、自己理解を深めることに繋がり、それが他者を評価する際もプラスになるのではないかと思っています」

北田「その通りですね。ビジネスの現場で『私は頑張っています』とアピールする人も多いですが、その評価は自分以外がするものですから。0.01の活動を企業研修に転用できたら、本当に素晴らしいと思います」

秋本「以前、サッカー選手だった友人から、企業研修でコミュニケーション能力についての講義をしていると聞き、『サッカーの経験は社会に活かせるからいいよな』と思ったことがありました。その後、丸山さんと出会い、自分たちのような個人スポーツの経験も、実はビジネスの現場で活かせると気づかされました」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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