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昨春WBCで惨敗も…野球中国代表は「さらに伸びる」 西武で活躍、中国唯一の研究者が抱く将来の夢

グラウンドにいる時はタブレットを手放せない劉さん【撮影:羽鳥慶太】
グラウンドにいる時はタブレットを手放せない劉さん【撮影:羽鳥慶太】

中国代表の課題と秘める可能性…昨春WBCは苦戦も「伸びる可能性は高い」

「将来的に中国と日本の野球の橋渡しをしてみたいなという思いはあります。野球を研究している中国人は他にいないと思いますし、日本で得た知識で中国の野球にも貢献したいと思っています」

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 昨春行われたWBCに出場した中国の戦いぶりも、そんな目で見つめた。東京ドームで行われたBプールでは4戦全敗。韓国には大会記録となる22失点を喫した。豪州が8強進出を果たし、チェコが次回大会へのシード権を得る中、中国は変わりゆく世界野球の勢力図で置いていかれたようにも見える。ただ劉さんが感じたのは、中国代表が秘める可能性だ。「直接関わったわけではないので」としながらも、こう口にする。

「さらに伸びる可能性は高いと思います。選手は身体能力が高いし、人口も多い。あと今の選手は若い頃から野球をやっていることが多い」。自身が野球に興味を持った2008年の北京五輪当時は、周りに野球をしている人がおらず情報が全くなかった。当時とは少し環境も違っているという。一方で課題も明白だ。

「試合が少ないんですよね。日本のプロ野球のように毎日のように試合をできれば、もう少しレベルが上がると思います。あとは指導者がまだ足りない。数が少ないので、小学校にまで回らないんです。小さい頃から正しい知識のもとでプレーするのが大切ですから」

 WBCでは、米国人のディーン・トレーナー監督が中国代表を率いた。「コーチ陣はMLBのアカデミーから来ていましたし、一方で選手には日本野球を経験している選手も多い。両方のいいところを集めて、成長してもらえればと思います」。自らも感じている日本野球の良さとパワーをミックスすれば、新たな中国野球の形を作れるのではと期待する。

 劉さんがバスケットボールに夢中だった少年時代、自身の現在の姿は全く想像できなかった。同じように中国代表の10年後も、全く予想できない。日本の研究結果で進化した中国が侍ジャパンに立ちはだかるのも、決してあり得ない話ではない。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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