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アジア杯で晒された日本代表の弱点 他国も“史上最強化”した今、W杯予選は逆に強化のチャンス

真剣勝負で明らかになった弱点、アジアで経験を積んで克服を

 ただ、この結果でW杯出場が厳しくなるかといえば、そうは思わない。逆に、日本にとっては貴重な経験を積めた大会だった。弱点が明確になったからだ。「ロングボールに弱い」のは30年前から言われ続けたこと。大会中には修正できなかったが、W杯予選まではまだ時間もある。選手の起用法を合わせて、ある程度は修正できるはずだ。そこに立ち返ることができるだけでも「貴重な経験」だ。

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 親善試合と何かがかかる試合は違う。親善試合はチームを強化するため、自分たちの長所を伸ばすために行うが、タイトルがかかれば勝つことだけを考える。相手を研究し、弱点を徹底して突く。自分たちのスタイルを捨てても、相手の形にしないことを優先する。そういう「真剣勝負」を経験できただけでも大きい。

 26年W杯が拡大され、アジア枠は4.5から8.5と倍増した。リーグ戦で行われる予選では地力がでるから、日本の出場は間違いないだろう。ただ、本番を考えれば予選を通してどこまでチーム力を上げられるかがカギになる。大きな「弱点」をかかえたまま勝てるほど、W杯は甘くない。

 近年、W杯は日本、韓国、イラン、オーストラリアなどが「常連」で、他の国が出場するチャンスはわずかだった。ところが、多くの国にチャンスが生まれた。ヨルダンのアムタ監督は、昨年6月の就任会見で「私の仕事はW杯に初出場させること」と宣言している。日本が2から3.5に拡大したアジア枠を利用して98年大会でW杯初出場を果たしたように、W杯を本気で目指す中堅国がアジアのレベルを飛躍的に上げている。そんな中で予選ができるのは、逆に強化のチャンスだと思っていい。

 W杯でドイツ、スペインを破り、親善試合でも連戦連勝。欧州トップクラブで活躍する選手も増えて、日本代表は「史上最強」と呼ばれた。しかし、アジアの多くの国も「史上最強」なのだ。過去と比べた「最強」に意味はない。今の日本はアジアで「ベスト8」。W杯本番で上位を目指すのなら、レベルアップしたアジアで経験を積み、弱点を克服することは不可欠なのだ。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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