大阪桐蔭、慶大をまとめたアマ球界希代の主将 福井章吾が4年間でさらに進化した主将力
2021年も多くのスポーツが行われ、「THE ANSWER」では今年13競技を取材した一人の記者が1年間を振り返る連載「Catch The Moment」をスタート。現場で見たこと、感じたこと、当時は記事にならなかった裏話まで、12月1日から毎日コラム形式でお届けする。第16回は、11月の明治神宮野球大会で準優勝した慶大の主将・福井章吾捕手(4年)が登場する。父・慎吾さんの言葉を交えながら、大阪桐蔭時代から4年で成長した「主将力」などをつづる。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
一人の記者が届ける「THE ANSWER」の新連載、第16回は野球・慶大主将の福井章吾
2021年も多くのスポーツが行われ、「THE ANSWER」では今年13競技を取材した一人の記者が1年間を振り返る連載「Catch The Moment」をスタート。現場で見たこと、感じたこと、当時は記事にならなかった裏話まで、12月1日から毎日コラム形式でお届けする。第16回は、11月の明治神宮野球大会で準優勝した慶大の主将・福井章吾捕手(4年)が登場する。父・慎吾さんの言葉を交えながら、大阪桐蔭時代から4年で成長した「主将力」などをつづる。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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逞しさを増したのは体だけではなかった。記者は4年ぶりの高校野球取材。この日午前に行われた高校の部では、大阪桐蔭が初めて秋の日本一を手にした。直後に行われた大学の部。4年前、同じ「TOIN」のユニホームを着ていた選手がいた。
慶大主将の福井章吾。大阪桐蔭時代はエースの徳山壮磨(早大、DeNAドラフト2位)とバッテリーを組み、主将としてセンバツ優勝に導いた。1学年下にはのちに甲子園で春夏連覇する根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)ら個性豊かなメンバーがズラリ。「主将力」という言葉を大切にし、抜群のキャプテンシーで多くの部員をまとめた。
爽やかな汗に真っすぐな瞳。取材するこちらも気持ちよくなるくらい清々しく、ハキハキとした口調。しっかりした受け答えに「本当に18歳か」と驚かされたのをよく覚えている。
名門の扉をくぐり、慶大でも主将に就任した。当然、体は一回りも二回りも大きい。「名主将」と呼ばれる中、4年間でどんな成長があったのか。
「やっぱり野球中心だった大阪桐蔭の時と、野球が中心なんだけど、大学生として他の人との交わりの中で少し大人になったんじゃないかなと思います」
こう語ったのは、福井の父・慎吾さんだ。少年野球でもキャプテンだった息子には「大学まで卒業できるよう勉強はしっかりやりなさい」と言って聞かせた。大学生になっても、帰省すれば近況を聞く。監督、チームの話だけでなく、グラウンドを離れた友だちとの話題まで。慎吾さんは高校時代の西谷浩一監督を含め、歴代の指導者に感謝している。
「人の縁、巡り合いの中でいろいろな方にお世話になってきました。親が教えるよりも、監督や先輩方から教えてもらったことが大きいと思うんですよ。それを自分なりに噛み砕いて応用するのが上手ですね。
一人で野球をやるのではなく、周りと一緒にやっている中で、助ける、助けられるというのがあると思います。(国体準優勝だった)高校でも、大学でも最後の日まで野球をやらせてもらった。それは本当に幸せなこと。それも一人の力じゃない。やっぱり周りに感謝しないといけませんね」