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上野由岐子、同じ町出身の後輩記者に残る言葉 子供たちに無観客でも伝えたい389球の感動

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。今回はソフトボールで日本を金メダル獲得に導いた上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)と同じ町内出身の編集部記者が送るコラム。20年前のソフトボール教室で7歳上の大エースと触れ合った体験から、無観客開催の今大会で子どもたちに感じとってほしい“熱”をつづる。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

最後の打者を捕邪飛に抑え喜ぶ上野由岐子【写真:Getty Images】
最後の打者を捕邪飛に抑え喜ぶ上野由岐子【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#28

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。今回はソフトボールで日本を金メダル獲得に導いた上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)と同じ町内出身の編集部記者が送るコラム。20年前のソフトボール教室で7歳上の大エースと触れ合った体験から、無観客開催の今大会で子どもたちに感じとってほしい“熱”をつづる。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 東京五輪開会式の6日前、サッカーU-24日本代表主将のDF吉田麻也は無観客開催の再考を訴えた。子どもたちに与える影響の大きさが意義の一つ。生で感じる“熱量”には確かなものがある。

 記者が小学5年の冬、憧れの「上野先輩」が校庭にやってきた。同じ福岡市南区柏原出身で、小学校、中学校の大先輩。実家は徒歩10分の距離だった。当時18歳で社会人入りする直前。中学の全国制覇などの実績もあり、地元ではすでにスターだった。剛速球を目の当たりにすると、30人のちびっ子たちは「ぎゃー!」「スゲー!!」と、お祭り騒ぎ。初めて見たライズボールの衝撃は忘れられない。打席に立った6年生はビビりまくりだった。

 記者は投手。背が低く、球も遅かった。未来の鉄人によるピッチング教室。投手10人ほどが横に並び、一斉に投球を始めた。自分の後ろに立たれた時は心臓バクバクのド緊張。「リリースの瞬間、グラブを持った手は引くんだよ」「自分の靴の6個半分、前に飛びながら投げてみようか」。ほんの些細な基本的技術。見違えるほど球速が上がり、翌日以降もウキウキして練習したことを覚えている。ピッチングが楽しくなった。

 周りの大人たちに言われた教えのほとんどは、正直あまり覚えていない。でも、憧れの人から直接かけられた言葉は20年経っても鮮明に思い出せる。もらったサイン色紙は実家の部屋の引き出しの中だ。

 中学生の時、上野先輩が学校で講演をしてくれた。全校生徒600人の前で1時間。「夢や目標は叶わなくてもいいから、そこに向かって一生懸命に努力してみてください。そこまでの頑張りは絶対に無駄にならないから」。体育館に響いた日本代表の言葉に、生徒も、先生たちも背筋を伸ばした。担任の先生は「20歳過ぎ、しかもこんな大人数の前でよくあれだけ堂々と話せるなぁ」とポツリ。大人になった今、生で伝えられた言葉の重みがわかる。

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