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トップリーグとは何が違うの? 明らかになったラグビー新リーグ「リーグワン」の全容

クロスボーダーマッチの重要性とは?

 新リーグのスタート前に準備、整備するべき課題は少なくない中で、来年の開幕を急ぐ理由が2つある。日本代表の強化と、2019年W杯で生まれた熱量の継承だ。

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 19年大会の歴史的な躍進でベスト8に勝ち上がった日本代表だが、この実績を引き続き保ち、さらに高めていくためには、強化をさらに加速させる必要がある。日本代表は6、7月に、4年に1度しか編成されないヨーロッパのドリームチーム「ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ」、そして世界ランキング4位のアイルランドとテストマッチを行ったが、もし強化の手綱を緩めれば、このようなトップクラスの強豪とのマッチメークのチャンスも減っていくだろう。代表強化のためにも、従来のTL以上の質の高い国内リーグを作ることで、代表クラスの選手のポテンシャルを上げていくことが不可欠なのだ。

 熱量の継承と書いたが、より具体的にいえば、“にわかファン”という言葉が生まれるほどにコアファン以外も惹きつけられた2019年当時のラグビーに対する注目度を、どこまで継続できるかという挑戦が、日本ラグビー界に課せられている。パンデミックにより、ラグビー界も空白の時間を強いられてきた。2019年の熱気が1日1日と冷めていく中で、新リーグの発足と、各チームの普及活動強化などを生かしながら、より早く国内でのラグビー人気、関心度を再沸騰させたい思惑がある。切実な問題を抱えながらの、乱暴にいえば見切り発進の感もあるが、歩き始める前に駆け出そうという手法が、様々な部分で齟齬を生む恐れはあるだろう。

 その一方でフェーズ制を設けたことには、単なる数年に1度の規約の見直しという発想だけではない理由もある。統括団体ワールドラグビーが現時点で構築中の様々な国際試合、国際大会のフォーマットにも対応できることを狙っているのだ。現在でもW杯の開催期間や、通常の代表戦が何月に行われるかが、国内リーグのスケジュールにも大きな影響を及ぼしているのだが、新リーグは立ち上げ段階から代表強化を大きな理念にしているだけに、国際試合のカレンダーを睨みつつ大会方式、日程に柔軟性を持たせようという考えも、フェーズ制の背景にはある。

 個人的には、新リーグの概要が発表された時点で最も注目していたのは、リーグ戦後に計画されている「クロスボーダーマッチ」の存在だ。これは、新リーグ上位数チーム(会見では、基本的にはトップ2チーム)が海外チームを交えてのトーナメントを行い、日本選手の競技力アップと、国内ファンに、より高いレベルの試合を提供することを目指している。

 背景には、サンウルブズのスーパーラグビー(SR)からの除外がある。今年の6月に、日本代表の強化試合の相手として急遽再編成されたサンウルブズだが、その最大のミッションこそが代表強化だった。代表メンバーや、将来代表に選ばれるポテンシャルを持った素材を、南半球強豪国の代表クラスの選手がプレーするSRで戦わせることで、選手のフィジカル、スキルレベル、経験値を上げていくことを目指した。サンウルブズの成果は、2019年W杯でのCTB中村亮土(サントリーサンゴリアス)らのパフォーマンスが証明している。

 サンウルブズの除外で断念した、代表強化には重要なSRという舞台の代案がクロスボーダー大会に期待される。個人的には、単独チームで戦うことがベストの選択とは思わないが、日本のトップ選手が海外強豪チームとの真剣勝負で得る経験値は貴重なものだ。国内リーグ戦が目玉の事業となる新リーグ構想に付随させて、敢えて国際大会を設けようという発想自体は評価していいだろう。

 だが、リーグ戦以上にクロスボーダーマッチ開催のためのハードルが高いのは、会見で示された説明でも明らかだ。一般社団法人ジャパンラグビートップリーグ(JRTL)の太田治業務執行理事はこう語っている。

「相手のあることなので、いま南半球と交渉中している。コロナの状況の中、先方のスケジュールも踏まえて、というところで交渉している。決まり次第お知らせしたい」

 現状では、海外から参入するチーム名はもちろん、どのようなフォーマットで行われるかも決まっていない。今年1月にこの大会の導入が明らかになった時から、ほとんど進展していない状態だ。新型コロナウィルスによるパンデミックが、いまだに終息できず、なおかつ国・地域による感染状況にバラつきがある中で、プランを前進させるのは相当に難しいのが現実だ。ラグビーでは、欧州やオセアニアなどの地域ベースでは国際試合も行われている一方で、パンデミック以降、日本での国際試合はオリンピックの7人制を除けば、いまだに実現していない。

 参入候補の海外チームも、クロスボーダー大会以外の活動予定が確定できない中で、調整は難航している。最悪のシナリオとしては、来季の開催の見送りも考えなければならない状況だが、代表強化、とりわけ2023年の次回W杯へ向けて重要な課題になるであろう選手層に厚みを持たせるためには、代表以外のメンバーの強化にも繋がるクロスボーダー大会の実現を重要課題と考えるべきだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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