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高校サッカー部の飲酒問題を米国から考える 米国の部活は酒を飲んだ場合どうなるのか

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「高校サッカー部の飲酒問題を米国から考える」。

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連載「Sports From USA」―今回は「高校サッカー部の飲酒問題を米国から考える」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「高校サッカー部の飲酒問題を米国から考える」。

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 全国高校サッカー選手権に出場予定の奈良県立山辺高校のサッカー部員が寮内で飲酒をしていたことがわかった。

 同校のサッカー部は、民間のサッカークラブと提携して運営されている。寮での飲酒が学校の監督範囲なのか、アカデミーの監督範囲なのか、明確になっていなかったようだ。報道によれば、学校側は、飲酒していた10人のうち、反省のみられない2人には、大会への出場を認めない方針だという。

 提携による監督責任のあいまいさは他の記事でも報道され、論じられているだろうから、ここではいったん横に置く。飲酒していた生徒にどのような罰を課して、過ちから成長を促すのか、というプロセスを米国の運動部活動と比較しながら見ていきたい。

 山辺高校は、過ちを犯した生徒に指導をし、反省をさせ、その反省の度合いによって罰を課すかどうかを決めた。事が起こってから、どのような罰を課すかを検討するリアクティブ方式といえる。リアクティブとは、何か物事が起こったあとで反応する、という意味だ。

 米国の運動部では、高校生選手が法律で禁じられている飲酒をした場合にはどうなるのか。

 日本の学校運動部がリアクティブ方式ならば、米国は事が起こる前に対応策を決めておくプロアクティブ方式だ。事前に決めたことがらは、学校運動部ハンドブックに明記しておく。ハンドブックは学校運動部に関わる全ての人が、活動理念、活動規則、安全基準、対話の手順などを共有するためのものだ。

 まず、ハンドブックの説明を少ししたい。

 ハンドブックは、運動部のコーチ(教員と外部指導者)、参加する生徒、保護者、学校の管理職が、いかに運動部活動をしていくかを了解しあうためのものだといえる。万が一、事故が発生したときには、どこまでが学校の責任であるのかが問われる。法的な争いになったときに、ハンドブックに書かれた安全基準が適切であったか、学校がこれを守って運営していたかも争点になるだけに、単なる冊子では済まされない重みがある。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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