【One Rugbyの絆】聴覚を頼りにボールを繋ぐ ブラインドラグビーがぶち壊す「先入観」という壁
日本ラグビー界に新たなうねりを起こすべく立ち上がった「NPO法人One Rugby」。元日本代表主将の廣瀬俊朗氏が代表理事を務める団体では、15人制や7人制(セブンズ)、車いすラグビーといった一般になじみのあるものから、10人制ラグビー、デフラグビー、ブラインドラグビー、タッチラグビー、タグフットボール、ビーチラグビーまで、「ラグビー」に分類されるあらゆる競技が協力し、競技の持つ魅力を広く社会に伝えていくことを目的とする。
「One Rugbyの絆」連載第9回、ブラインドラグビー日本代表主将・神谷考柄さん
日本ラグビー界に新たなうねりを起こすべく立ち上がった「NPO法人One Rugby」。元日本代表主将の廣瀬俊朗氏が代表理事を務める団体では、15人制や7人制(セブンズ)、車いすラグビーといった一般になじみのあるものから、10人制ラグビー、デフラグビー、ブラインドラグビー、タッチラグビー、タグフットボール、ビーチラグビーまで、「ラグビー」に分類されるあらゆる競技が協力し、競技の持つ魅力を広く社会に伝えていくことを目的とする。
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「One for all, all for one」の精神で1つのボールを全員でゴールまで運び、試合終了の笛が鳴れば、敵味方関係なく互いの健闘を称え合う。ダイバーシティ=多様性のスポーツと言われるラグビーが、現代社会に提供できる価値は多い。「THE ANSWER」では、「One Rugby」を通じてラグビー界、そして社会が一つになれることを願い、それぞれのラグビーが持つ魅力を伝える連載「One Rugbyの絆」をお届けしている。
第9回は、主に弱視の視覚障がい者がプレーするブラインドラグビーをご紹介する。2018年に日本で初めて紹介された真新しいラグビーが持つ可能性と魅力について、日本代表主将を務める神谷考柄さんに聞いた。
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種類の多いラグビー・ファミリーの中で、最も“年少”にあたるブラインドラグビー。産声を上げたのは2015年、イングランドでのことだった。日本には2018年に紹介され、翌年にはイングランドからコーチが来日して講習会を開催。同年4月に視覚障がい者と健常者がともにスポーツを楽しむ共生社会の実現を目指し、「日本ブラインドラグビー協会」が発足した。
1チーム7人で前後半10分ハーフを戦い、主なルールはタッチラグビーに近い。防御側の選手が、ボールを持つ攻撃側の選手の体(肩から膝の間)に両手で触れるとタックル成立とみなされ、6回のタックル成立で攻撃権が移る。スクラムやラインアウトは3対3で行われるが形式的な意味合いが強く、激しいコンタクトプレーに繋がる恐れは少ない。トライをすれば5点が入り、コンバージョンキックが成功すれば2点が追加される。
国際的なルールでは、選手は弱視の視覚障がい者が主となっている。だが、共生社会を目指す日本の独自ルールでは、1チーム5人以上が視覚障がい者であれば、弱視でも、全盲でも、アイマスクを着用した晴眼者でも参加可能だ。