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大学ラグビー開幕 “いつもと違う”シーズン初戦で大学王者が見せた“いつもと違う姿”

早大相良監督、丸尾主将のリモート会見【写真:吉田宏】
早大相良監督、丸尾主将のリモート会見【写真:吉田宏】

ファンは待っていた“生のラグビー”5000枚のチケットは完売

 いつもとは違う秋の幕開けだった。

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 地下鉄外苑前駅から伸びるスタジアム通りに面した秩父宮の正門を入ると、テントを並べた入場ゲートが横一線に広がっていた。ゲートで手の洗浄と検温を終えてスタンドに入ると、全席指定のメーンスタンドとバックスタンド、自由席のゴール裏スタンドは4席に1席という間隔が取られていた。スコアボード側のゴール裏は、対戦する2校の学生席。ここも、事前に申請のあった部員しか観戦を許されない。選手と、メンバー外部員やファンの導線も、試合前から会場を出るまで完全に遮断されていた。試合後の会見も、インターネットを使ったリモートで、監督、主将、他任意の1選手をマックスに行われた。

 実質2万人のキャパシティを持つ秩父宮だが、この日の発売された観戦チケット5000枚は完売。公式入場者は早大が登場した第2試合で4260人と発表された。試合を主管する関東ラグビー協会によると、通常なら様々な購入方法がある観戦チケットも、2種類のインターネット販売に限定。全ての購入者の住所や連絡先を把握して、感染拡大の防止対策も講じていた。

 1年前の今頃は、ワールドカップ日本大会が国中を熱気に包んでいた。しかし、宴が終わるのを待つように広がったコロナ感染により、ラグビー界も沈黙を余儀なくされてきた。ようやく迎えたこの日のトップレベルでの国内公式戦も、多くの制約、困難の中で船出を迎えた。9月14日には、日本代表の試合、活動が、今季中には行われないと発表される中で、ラグビーファンの注目は、大学公式戦、そして来年1月に開幕する社会人のトップリーグ(TL)に注がれている。TLを、より日常に近い開催をするためにも、その運営や、盛り上がりが注目されるのが大学公式戦だ。

 伏兵に思わぬ苦戦を強いられた早大だが、相良監督の強化のカレンダーに大きな修正はないようだ。この試合では、先発15人中4人が公式戦では初めて早大伝統の“アカクロ”ジャージーに袖を通している。控えも含めると、その人数は11人と約半数にも及ぶ。指揮官は、この日のメンバーについてこう振り返った。

「全般的には、初メンバー入りの選手は硬かったかなと思います。アカクロを着るということが1つの目標で選手個人はやっていると思うので、こういうチャンスをしっかりモノにできるようなアピールができたかというところが、ちょっとおとなしかったかなという印象もあります。デビュー組で(良かったの)は、途中から出た1年生の村田(陣悟、京都成章)ですかね。入ってから、いいボールキャリーとか、いい流れを作ってくれたので、彼に関しては今後こういう舞台でもっと経験を積ませたいという期待感を持たせてくれた」

 春夏のシーズンがなかったことを踏まえて、早大が対抗戦前半戦を、新しい戦力に経験値を積ませる時間と位置付けているのは間違いない。大学王座防衛を最大のミッションとして挑むシーズンは、当然のことながらチームのピーキングは来年1月の選手権決勝戦に据えている。対抗戦前半戦で戦力の厚みを増すことが出来れば、昨季に続く頂点への道程が見えてくる。

 早大に加えて、昨季逃した大学日本一奪還に燃える明大、3シーズンぶりの選手権制覇へ戦力を充実させる帝京大と強豪ひしめく対抗戦、東海大、流経大が火花を散らすリーグ戦は、異例の2カ月という短期決戦が始まった。半年を超える“沈黙”を余儀なくされた日本のラグビーを、まずは大学ラグビーが先陣を切って盛り上げる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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