MBA取得、起業、俳優挑戦… 廣瀬俊朗が挑戦し続けるワケ「枠にとらわれたくない」
なぜ人は学ぶのか――。そんな永遠ともいえるテーマに答えてくれたのは、ラグビー元日本代表主将、廣瀬俊朗さんだ。2016年の現役引退後にはビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院に通い、経営学を学びMBAを取得。38歳となった現在も多方面で活躍しながら貪欲に“学び”と向き合い続けている。
今なお“学び”と向き合う元ラグビー日本代表主将がコロナ禍の学生へ贈るメッセージ
なぜ人は学ぶのか――。そんな永遠ともいえるテーマに答えてくれたのは、ラグビー元日本代表主将、廣瀬俊朗さんだ。2016年の現役引退後にはビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院に通い、経営学を学びMBAを取得。38歳となった現在も多方面で活躍しながら貪欲に“学び”と向き合い続けている。
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「THE ANSWER」ではラグビーと勉強、文武両道を地で行った廣瀬さんに単独インタビュー。学ぶことの意義や、コロナ禍の中で逆境に立ち向かう学生へ向けてのメッセージを聞いた。
【取材協力=一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)、マイナビアスリートキャリア】
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学ぶこと、勉強すること――。ともすれば、敬遠したいもの、遠ざけたいもの、というイメージを持ちがちだ。特に学生で「勉強が大好き」と胸を張って言える人は少数派ではないか。だが廣瀬さんに学ぶことの意義を聞くと、目を輝かせながらこう答えてくれた。
「単純に楽しい。今までと世界が違って見えたり、知らなかったことを知られたり、あとは社会的な問題とかそういうものを解決するために役立つ。好奇心と、人のためになるということが嬉しいですね」
38歳にして今、廣瀬さんの学びへの意欲は最高潮に達しているのかもしれない。
2016年の引退後、東芝でコーチを務めながらMBA取得のために大学院へ。19年2月に東芝を退社した後は株式会社「HiRAKU」を立ち上げた。ラグビーワールドカップのアンバサダーを務め、TBS系ドラマ「ノーサイド・ゲーム」では俳優に挑戦し話題に。NPO法人の理事も務めるなど、複数の肩書を背負って精力的に活動している。
そんな状況にも関わず、多忙の合間を縫うようにしてさらに学びの場を広げているのだ。
「今はまた大学院に行き始めた。ほかにEMS(エッセンシャルマネジメントスクール)で本質行動学について勉強もしている。今、通い始めて5か月くらい。さらにBBTの組織論基礎という講座があって、そこでラーニングアドバイザーも務めています。これは半分仕事、半分勉強ですが、時間があればずっと勉強しているかもしれません」
東芝での会社員としての安定した立場を捨て、新たな一歩を踏み出してから約1年半。学びへのモチベーションはどこにあるのだろうか。
「知ることが楽しいというのがまずは一番。ですが、これからも挑戦したいことはいくつもある。例えばアスリートがもう一度学べるようなプロジェクトを来年1月くらいに作りたいと思っている。そこへ向けて、まだまだ勉強することが必要です。作りたい世界や、ありたい自分が明確にあるので、今やっていることは全然苦じゃない。ただ時間がないです。研究(にかかる労力は)は重たい。論文を書かなければならないのですが、論文はビジネスよりも細かい。そこはまだまだ慣れない領域なので、昔に戻った気分ですよ」
そう言って笑う表情からは充実感がにじむ。
元々、勉強にもラグビーにも同等に力を注いできた。大阪・北野高出身。北野といえば、橋下徹元大阪市長ら著名人を輩出する文武両道の進学校として知られる府下屈指の名門校だ。そこから慶大の理工学部に進んだ。
「まずは慶応でラグビーをしたいと思っていた。それに高校から理系が好きだったので、もう少し深く学んでみたいと思って理工学部に進みました。当時から色々なことを学ぶのが好き。今でもそれは続いていますね」
理工学部では機械工学科で卒論のテーマは『架線・パンタグラフ系における離線現象の基礎的考察』。
廣瀬さんは「電車の架線とパンダグラフ、それが離れると電気が流れないので、なくすためにはどうすればいいか。それの基礎的なこと。タイトルは難しいですが、やっていることはとてもシンプルです。今振り返ってみると、よくわかっていなかったですね」と笑うが、ロジカルに考えて試行錯誤することは今にも通じている。