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【#キミとONETEAM】「僕が『#ラグビーを止めるな2020』を始めた理由」―元日本代表・野澤武史

「#スポーツを止めるな2020」へ、高校3年生を社会全体で支えることが必要

 去年はW杯が盛り上がりましたが、日本代表で僕が特にお手本としてほしいと思う選手がいます。それは、中村亮土選手(サントリー)です。W杯でベスト8に行ったセンターの選手では一番サイズがないし、スピードも一番になれるわけではない。でも、彼は自分がチームから与えられた役割を100%こなす理解力があり、後発的に鍛えられるフィジカルを徹底的に鍛えてきました。

 そうして「日本の12番といえば、中村選手しかいない」という自分の確固たるポジションをつかんだ。出身の帝京大は強豪なので、入部してもすぐには試合に出られないチームですが、彼も大学1、2年のうちはCチームにいた時期もあり、そういう下積みの期間からいろんなものを培っていった選手。あまり記事では取り上げられない選手ですが、彼のメンタリティは参考にしてほしいです。

 ラグビーの面白さは、両チーム合わせて30人でやるスポーツなので、全く思い通りにならないこと。練習はしていても、それと同じパターンが試合で起こることはほぼ皆無です。試合中はコーチも指示を出せない。起きた状況に対して、常に選手たちで考えて問題解決しなきゃいけない。その経験は僕も社会に出て一番役に立っています。

 今回の「#ラグビーを止めるな2020」はラグビーの高校3年生を救おうと始めました。「結果の平等」を作ることはできないけど、「機会の平等」だけは大人の力でなんとか作ってあげたい。僕は高校、大学、社会人とすごく恵まれた選手生活が送れた分、これからの子供たちにも道を作ってあげたい。なので、少しでも興味がある高校生はぜひ動画を投稿してほしいと思います。

ラグビー界は全体が「先輩・後輩関係」になっていると感じます。今回のプロジェクトでも、動画をポジションごとにまとめているサイトを作っている方が現れたり。「後輩のために何かしてあげよう」という温かい風潮があると改めて感じました。僕も、営業に伺ってラグビーの話で盛り上がって、何度も助けて頂いたことがあります。面白いですよね。

 今は横の展開も生まれ、他のスポーツも今年は同じ課題を抱えていると実感しています。こうした動きから仲間が増え、最終的に「#スポーツを止めるな2020」につながれば、大きなムーブメントになる。高校3年生を社会全体で支えて行こうという流れになっていくといいなと思います。1人でも次のステージでスポーツを選択してくれる子がラグビーに限らず増えてほしいです。

 少しでも大変な状況が続きますが、僕も自分にできることに集中しながら価値を生み出し、ラグビー界に貢献していきたいと思います。

【#きょうのトライ「あした、やろうと思っていたことをきょうやろう」】

 自粛生活が続くと、目の前にあることも「あした、やればいいや」と先延ばししていませんか? 僕も今、仕事はテレワークですが、急にあしたから日常生活に戻り、すべてが一気に動き出したら、100%の準備ができていないところもあります。だからこそ、あしたやろうと思っていたことをきょうやってほしい。いつ日常生活に戻ってもいいように、前傾姿勢を取りましょう。

■野澤 武史(のざわ・たけし)

 1979年4月24日生まれ、東京都出身。慶應高(神奈川)、慶大では世代別の日本代表を経験。02年に神戸製鋼に入団。日本代表にも選ばれ、キャップ数は「4」。ポジションはフランカー。09年に引退後は慶大のヘッドコーチ、U-17日本代表コーチなどを務め、育成年代のタレント発掘に尽力。現在は山川出版社の代表取締役も務める。

【注目】現役、OB、指導者ら豪華メンバーが連日登場 ラグビー連載「#キミとONETEAM」全一覧はこちらから

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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