【#キミとONETEAM】「僕が『#ラグビーを止めるな2020』を始めた理由」―元日本代表・野澤武史
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第28回
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
【注目】現役、OB、指導者ら豪華メンバーが連日登場 ラグビー連載「#キミとONETEAM」全一覧はこちらから
もっとプレーを見せたかった選手、プレーを見たかった子どもたち。距離が遠くなってしまったいま、「THE ANSWER」はラグビー界がもう一度、子どもたちと一つになれることを願って、「#キミとONE TEAM」と題した連載をお届けしている。
元日本代表主将の菊谷崇さんと廣瀬俊朗さんが発起人となり、多くの現役、OB、指導者らが賛同。いま抱えている思いとともに、全国の子どもたちに向けたメッセージを送る。また、記事は連日午前9時に配信。「#きょうのトライ」として、学校が休校となっている子どもたちにきょう1日を使い、やってほしいことを提案する。
第28回は、元日本代表・野澤武史さんだ。神戸製鋼でプレーし、09年に引退後からジュニア年代の育成、才能発掘に尽力。最近は、ツイッター上で高校3年生を支援する「#ラグビーを止めるな2020」という企画が話題に。五郎丸歩ら現役選手も賛同し、西武・松坂大輔投手も夏の甲子園中止を受けたコメントで同企画を参考にした救済案を提示するなど、大きな注目を集めている。
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僕は09年に神戸製鋼で現役引退した後、母校・慶應の高校、大学で4年間コーチを務め、12年から日本ラグビー協会のリソースコーチという肩書きで、北海道から九州まで全国9ブロックを回りました。17、18年はU-17日本代表のコーチもさせてもらい、同時期から「TID(Talent Identification)」というタレント発掘の担当になり、ジュニア年代の発掘の道を主に歩んできました。
その中で、僕は今月15日から「#ラグビーを止めるな2020」というプロジェクトをツイッターで始めました。次のステージでラグビーを続けたい高校3年生がプレーの動画を投稿し、それを僕らラグビー界のOBなどが拡散。大学でリクルートを担当している人に見てもらい、チャンスを広げようというもの。「#ラグビーを止めるな2020」のハッシュタグでぜひ検索してみてください。
この企画を始めた理由は2つあります。1つ目は、高校3年生が自分をアピールする場所がなくなってしまったこと。例年、3月終わりから全国選抜大会が行われ、そこでプレーをチェックして高校日本代表候補が決まるなど、3年生の進路に影響する貴重な機会。それが今年はコロナ禍ですべて流れてしまった。そんな高校生のために何かできることがないかと思ったことが一つです。
2つ目は、僕がタレント発掘に携っていることもあり、有望な高校生を探す大学のリクルーターから「どこかに埋もれているような良い選手はいないか」などと連絡をもらう機会が増えたこと。もしかしたら、今は選手を探す側にとっても難しい状況なんじゃないかと感じました。それで、何か両者の橋渡しができるようなことはないかと考えた結果、今回の企画を思いつきました。
実際にはいろんな手法を考えましたが、お金がかかるものもあり、最終的に誰でも参加できるツイッターを選びました。でも、手応えを感じています。まず、ありがたいことに動画が想像以上に投稿されました。そして、自分の生徒の動画を上げた高校の先生から「大学からオファーがありました」という声が届いています。この試みが少しは価値を生めているかなと感じました。
また、トライアウトの機会がなくなったクラブチーム所属の選手が「トップチームでプレーしたいので、見てもらいたい」という理由で参加する縦への展開があったり、ハンドボール、バスケットボール、野球といろんなスポーツが「#〇〇を止めるな2020」というハッシュタグで一緒にやってくれる横の展開もあったり。日は浅いですが、とてもいい方向に向かっていると思います。