“普通”の概念を覆したJリーグ王者 横浜FMの右SBが語る「新サイドバック論」
「大変だけど、面白さがある」―サイドバックにこだわる最大の理由
「大切なのは『なぜ内側にポジションを取るのか』という意図や狙いです。サイドバックの仕事は周りのポジションの中継役になる役目があって、なんとなくプレーしてもうまくいきません。最初は自分がどの立ち位置を取ればチームがうまく循環していくのかを考えて、いまでは自然と正しいポジションを取れるようになりました。ボスは選手自身が考えることを求める監督です」
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
特異な役割にすっかり馴染み、今では目を輝かせて新しいサイドバックの形を作り上げていく。話をしながら自然と笑みがこぼれるのは、仕事にやりがいを感じているからに他ならない。
「会社組織に例えると、中間管理職だと思います。守備はもちろんのこと、攻撃でも中継役にならないといけないし、いろいろなところに顔を出さないといけない。板挟み状態になることもあるけれど、周りの人間としっかり関係性が築くことが大事になるポジションです」
特殊なサッカーにおける象徴的な存在としてフォーカスされるのは、チームの結果が良い方向に出た時だろう。一方で、DFだけに失点に関与するケースや、それが敗戦につながる苦い経験もある。
「大変だけど、面白さがあるんです。他のポジションではなく、サイドバックがいいです」
難しさの中にある面白さこそが、松原がサイドバックにこだわる最大の理由だった。
【「横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史」発売】
松原が所属する横浜F・マリノスに迫った新刊が3月31日に発売された。クラブ取材歴15年の番記者が、選手・監督・スタッフを徹底取材。堅守のマリノスから アタッキングフットボールへ、J2降格の危機にまで陥ったリーグ屈指の名門は、いかにして変革を遂げ、15年ぶりの優勝を果たしたのか。知られざる変革の「歴史」と「裏側」を深く掘り下げた。
「横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史」(著=藤井雅彦、発行=ワニブックス)
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)