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子どもの学習能力までUPさせる運動塾 20年で100種類、元プロボクサーが心血を注ぐ独自指導法

ボクシングの元世界王者が、子どもの運動能力向上に一役買っている。2004年に「飯田覚士ボクシング塾 ボックスファイ」を設立した、元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏。現在は解説業の一方、東京・中野区に自身のジムを持つ。視覚能力を高めて運動能力を向上させる「ビジョントレーニング」が売りの一つだ。現役時代の方法に加え、体や脳の動きを融合させた独自プログラムで子どもたちを指導。前編は競技の枠に収まらない効果を語ってくれた。(文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

自身の運動塾で子どもを指導する飯田覚士氏(中央左)【写真:山野邊佳穂】
自身の運動塾で子どもを指導する飯田覚士氏(中央左)【写真:山野邊佳穂】

元プロボクサー・飯田覚士氏が教える子どもの運動能力向上プログラム・前編

 ボクシングの元世界王者が、子どもの運動能力向上に一役買っている。2004年に「飯田覚士ボクシング塾 ボックスファイ」を設立した、元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏。現在は解説業の一方、東京・中野区に自身のジムを持つ。視覚能力を高めて運動能力を向上させる「ビジョントレーニング」が売りの一つだ。現役時代の方法に加え、体や脳の動きを融合させた独自プログラムで子どもたちを指導。前編は競技の枠に収まらない効果を語ってくれた。(文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

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 子どもたちの大きな声が教室に響き渡った。平日の午後5時。「気を付け。よろしくお願いします」。児童の号令でスタートした。数字暗記クイズ、リズム体操、エアーボクシングなど頭と体を使った6種目を1時間。小学生11人がゲーム形式で楽しんだ一方、うまくいかず悔し涙を流す子も。それだけ熱中していた。指導した飯田氏は言う。

「ここは『何かのスポーツに役に立つ』ではなく、土台作りです。体の使い方、コントロールの仕方をまず覚える。それが目と体なので。4、5年生から他のスポーツを始めてもやれるような土台を作れるプログラムだと思います」

 コースは5人前後の年少~年長のキッズの部、10人前後の小学1~6年のジュニアの部、小学生3人以下の少人数レッスン、マンツーマンの個別レッスンも含めて4種類。「ボックスファイ」が生まれるきっかけは、1997年に世界王者に輝いた飯田氏の現役時代に遡る。海外のジムを訪れた時のことだった。

 学校帰りの子どもが寄り道をするように遊んで帰っていく。大人が必死で汗を流す日本とは大違い。「日本にもあったらいいな」。当時は自ら開設するとは思っていなかった。理想が現実味を帯びたのは、怪我をする子どもが目に付いたこと。99年に引退後、セカンドキャリアの活動の一環で近所の子どもへのビジョントレーニングを始めた。

 指導内容は自身の幼少期や、子育ての中で知った遊びを参考にした。第一は子どもたちが楽しむこと。その中で目や体、脳を使う要素を組み込んだ。中身は全てオリジナル。考案、実践、改良を繰り返す中で失敗は山ほどあった。効率の良いものを残し、今では100種類ものプログラムがある。

「ハイ&ロー」でタイムを測定する子どもたち、トランプを集めて左のかごに入れなければならない【写真:山野邊佳穂】
「ハイ&ロー」でタイムを測定する子どもたち、トランプを集めて左のかごに入れなければならない【写真:山野邊佳穂】

 この日、最も白熱したのは「ハイ&ロー」と呼ばれるタイム測定だ。床には二等辺三角形の3つの角に印をマーク。合図が出たら、底角に座る児童2人がトランプを出す。測定者となる3人目の児童は大きな数字から順番に拾い、二等辺三角形の頂点にあるかごに入れる。複数回の合計タイムの短さを競った。

 改良を繰り返したのは3辺の長さ。1.5メートルの底辺は首を動かさず、周辺視野で数字を見られる距離にした。残り2辺を2メートルにしたのは、かごに入れるまでに一度は体を起こす必要があるから。5年間かけて現在の形になり、絶妙な距離設定が高い効果を発揮。どのプログラムも、キッズクラス開設から20年の研鑽が詰まっている。

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